積分計算で困ったときの対処法①
「取り敢えず微分する」
《例題》
次の不定積分を求めよ。$$\int \frac{\log \left(\sin ^{2} x\right)}{\tan x} d x$$
ともすると泥沼にはまりそうな問題だが、方針に困ったときは積分ではなく、敢えて「微分」してみると突破口が見えてくることがある。
コツとしては、関数の一部分を微分する、という点。
試しに $\log \left(\sin ^{2} x\right)$ を微分すると$$\frac{d}{d x}\log \left(\sin ^{2} x\right)=\frac{2 \sin x \cos x}{\sin ^{2} x}=\frac{2}{\tan x}$$となり、被積分関数の分母にも$\tan x$があるので、実はちょうど合成関数の微分形になっていたことが分かる。これより、$$\begin{align}
&\ \ \ \ \ \int \frac{\log \left(\sin ^{2} x\right)}{\tan x} dx \\
&=\frac{1}{2}\int \left\{\log \left(\sin ^{2} x\right)\right\}^{\prime} \cdot \log \left(\sin ^{2} x\right) dx \\
&=\frac{1}{2}\int \frac{1}{2}\left\{\left(\log \left(\sin ^{2} x\right)\right)^{2}\right\}^{\prime} dx \\
&=\frac{1}{4}\left\{\log \left(\sin ^{2} x\right)\right\}^{2}+C \\
&=\color{red}{(\log |\sin x|)^{2}+C}
\end{align}$$となる。関数に$\log$が含まれているときはこの方法で上手くいくことが時々ある。