公式を思い出せないときも、単位を確かめれば不自然な式を見つけられます。数値と一緒に「何を測っている量なのか」を扱う練習をしましょう。
対象:物理基礎。前提知識:指数、比例式。
物理量は数値と単位の組
長さ2 mと200 cmは同じ量です。計算の途中で単位をそろえる必要があります。例えば$72\,\mathrm{km/h}=72\times1000/3600=20\,\mathrm{m/s}$です。面積や体積では換算係数も累乗し、$1\,\mathrm{cm^2}=10^{-4}\,\mathrm{m^2}$、$1\,\mathrm{cm^3}=10^{-6}\,\mathrm{m^3}$となります。
測定値では有効数字も確認します。途中計算で桁を切り過ぎず、最後に丸めましょう。個数や定義による換算値は測定値と区別します。
足せる量と足せない量
質量、長さ、時間の次元をM、L、Tと書くと、速度は$\mathrm{LT^{-1}}$、加速度は$\mathrm{LT^{-2}}$です。力の次元は運動方程式から$\mathrm{MLT^{-2}}$、仕事は$\mathrm{ML^2T^{-2}}$です。
等式の両辺と、足し算の各項は同じ次元でなければなりません。$x=x_0+vt$はすべて長さですが、$x=x_0+v$は長さと速度を足しているので成立しません。逆に、次元が同じだからといって式が正しいとは限りません。
例題:落下距離の式を選ぶ
初速度0の落下距離$s$が、$gt$、$gt^2$、$g^2t$のどれかに比例するとします。$g$は重力加速度、$t$は時間です。
$[gt]=\mathrm{LT^{-1}}$、$[gt^2]=\mathrm L$、$[g^2t]=\mathrm{L^2T^{-3}}$なので、距離に対応できるのは$gt^2$です。ただし係数$1/2$は次元だけでは決まりません。運動方程式から$s=\tfrac12gt^2$を導く必要があります。
確認問題と解説
問題:ばね定数$k$の単位はN/mです。$\sqrt{m/k}$と$\sqrt{k/m}$のどちらが時間の次元を持ちますか。$m$は質量です。
解答を読む
$[k]=\mathrm{MT^{-2}}$なので、$[m/k]=\mathrm{T^2}$。時間の次元を持つのは$\sqrt{m/k}$です。実際の周期は$2\pi\sqrt{m/k}$ですが、$2\pi$は次元の検査では分かりません。
発展:無次元量を作る
単振り子の長さ$\ell$を使うと$t\sqrt{g/\ell}$は無次元です。基準量で割れば、異なる装置の結果を比較しやすくなります。指数関数や三角関数の中身も無次元でなければなりません。$\cos(\omega t)$で$\omega$が$\mathrm{s^{-1}}$を持つのはそのためです。
単位の検査は係数や符号の誤りをすべて見つけられるわけではありませんが、導出の途中に入れると、式の取り違えを早く発見できます。
