渡り鳥は、初めての旅でどう目的地へ向かうのか

雑記Topに戻る

初めて渡りをする若い鳥は、まだ行ったことのない場所へ向かう。経験した道を思い出すことができない以上、別の手掛かりが必要である。渡り鳥は、遺伝的な行動の傾向、周囲の情報、仲間から得る経験を、種ごとに異なる形で組み合わせている。

生まれつきの方角と時期

ズグロムシクイなどの研究では、渡りの方向や活動の時期に遺伝的な要素があることが示されている。若い鳥が親に先導されなくても季節に応じた方向を選べることは、経験だけでは説明できない。

これは、目的地の住所が遺伝子に書かれているという意味ではない。ある時期に活動を高め、ある方向へ進む傾向が組み合わされれば、一定の地域へ到達する可能性を高められる。遺伝的なプログラムという表現は、行動の規則を指すものとして理解するとよい。

方角を知ることと位置を知ること

南へ進む方角が分かっても、いまどこにいるかが分かるとは限らない。通常の経路を外れたときに目的地へ修正できる能力は、一定の方向へ飛ぶ能力とは別である。鳥の移動を調べる実験では、この違いが重要になる。

研究では、初回の渡りを経験していない鳥が、春に季節相応の方向を示す例も報告されている。生得的な情報がどこまで移動を支え、経験による情報がどこから加わるのかを、条件を変えて確かめているのである。

旅を重ねて変わる経路

コウノトリの追跡研究では、年齢や経験に伴って移動経路の選び方が変わることが示されている。初めての旅と、何度も往復した後の旅を同じ仕組みで説明することはできない。仲間と移動する鳥では、社会的に得る情報も関わる。

渡りは、正確な一枚の地図を持って出発する行動に限られない。進む傾向を出発点に、環境から情報を得て、経験によって経路を整えていく行動でもある。小さな鳥の長距離移動には、生まれつき備わるものと学ぶものの両方が働いている。

渡りの仕組みは種、年齢、季節によって異なる。ある鳥で得られた結果を、すべての渡り鳥にそのまま当てはめることはできない。

参考資料

参考資料確認日:2026年10月14日。

雑記Topに戻る