サンゴ礁を作るサンゴの多くは、よく光の届く海に暮らしている。サンゴ自身は動物であるのに、日光が生育を支えるのはなぜだろうか。重要なのは、サンゴの組織内に暮らし、光合成を行う褐虫藻との関係である。
動物の体内に、光合成をする相手がいる
サンゴは、ポリプと呼ばれる体の単位を持つ動物である。多くの造礁サンゴの組織には、褐虫藻と総称される微小な藻類が共生している。光合成をする主な担い手は、この共生相手である。
褐虫藻は光のエネルギーを使って有機物を作り、その一部をサンゴへ渡す。サンゴは相手へ生活する場所を提供し、呼吸などで生じる二酸化炭素も光合成に利用される。別々の生き物の代謝がつながることで、サンゴの成長や生存が支えられるのである。
透明な海で、光と栄養を利用する
水中では、深さや濁りによって届く光が変わる。褐虫藻の光合成へ依存するサンゴにとっては、海水が温かいかだけでなく、光が十分に届くかも重要になる。NOAAの解説は、この関係を、造礁サンゴが透明な海を必要とする理由と結び付けている。
サンゴ礁は多くの生物を支えるが、その周囲の海水がいつも栄養塩に富んでいるわけではない。共生関係の中で物質をやり取りし、光合成の産物を利用することが、生産を支える。水に溶けた栄養が多いほど、必ずサンゴによいという単純な関係ではないのである。
共生が崩れると、白化として見える
高い水温などのストレスにより、サンゴが褐虫藻を失うと、白っぽく見える白化が起こる。色の変化だけでなく、光合成による栄養の供給が弱まることが問題になる。白化が長く続けば、サンゴが生き残ることも難しくなる。
白化した時点ですべてのサンゴが死んでいるわけではない。共生関係と体力を回復できるかが、その後を左右する。サンゴと日光の関係は、動物か植物かという二択だけでは説明できない。動物の暮らしが、体内の別の生物の働きと一体になっている事例なのである。
本稿は主に褐虫藻を持つ造礁サンゴを扱う。すべてのサンゴが同じ共生関係を持つわけではなく、深海にもサンゴは生息する。
参考資料
- NOAA:Corals Tutorial — What is Zooxanthellae?
- NOAA:Coral reef ecosystems
- NOAA Fisheries:Coral Health and Threats in the Pacific Islands
参考資料確認日:2026年10月14日。
