日本を英語ではJapanと呼び、日本語では「にほん」や「にっぽん」と読む。国を指す言葉が、その土地の人の呼び方と一致しないことは珍しくない。国名は世界共通のラベルとして一度に決まったものではなく、言語ごとの交流の歴史の中で使われてきた名称だからである。
内側の名前と外側の名前
国連地名専門家グループは、ある場所で使われる公用語や定着した言語による地名をエンドニム、その場所の外の言語で使われ、現地の形と異なる名称をエクソニムとして整理している。日本語では内名、外名などと訳される。
国連の国名一覧でも、日本の国内の名称と、国連の各公用語による名称は分けて示される。これは一方が本物で他方が誤りという意味ではない。同じ国を、異なる言語の中でどのように指すかという区別である。
伝わった経路が名前に残る
外国の名前は、現地の発音を直接聞いて取り入れる場合もあれば、別の言語を介して伝わる場合もある。借り入れた言語にない音は近い音へ置き換わり、その後の音の変化や綴りの慣習も加わる。今日の発音だけを比べても、伝わった順序は見えにくい。
さらに、かつて一部の地域や集団を指した名が、より広い範囲を指すようになることもある。国境や政治体制が変わっても、外国語の慣用名が同じ速さで変わるとは限らない。国名を調べる作業には、語源だけでなく、その名称がどこで定着したかを追う必要がある。
自国の名前も一つとは限らない
一つの国の中で複数の言語が使われれば、その国の内側にも複数の名称があり得る。正式な長い国名と日常的な短い国名の違いもある。「その国の人は何と呼ぶか」という問いには、誰が、どの言語で、どの場面で呼ぶかという条件が付く。
地図や報道で名称を選ぶときには、読者に通じる慣用形と、当事者の希望や公的な表記を調整することになる。呼び名の違いは単なる発音のずれではない。外の世界との接触と、その土地を誰がどう記述してきたかという歴史を含んでいる。
別の文字体系への通常の翻字だけで、直ちにエクソニムになるわけではない。内名・外名は国名以外の都市名や河川名などにも用いられる概念である。
参考資料
参考資料確認日:2026年10月14日。
