e.g. は「例えば」、i.e. は「すなわち」、etc. は「など」、et al. は「ほかの人々」を表す略記です。英語の文章でよく見かけますが、もとの語句はいずれもラテン語です。
とくに e.g. と i.e. は、どちらも説明を付け足す場所に現れるので混同しがちです。しかし、一部の例を挙げるのか、前の内容を言い換えて明確にするのかで、文の意味が変わります。
もとの語句と意味の早見表
| 略記 | もとのラテン語 | 意味 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| e.g. | exempli gratia | 例えば for example |
例を挙げる |
| i.e. | id est | すなわち、言い換えると that is |
前の内容を説明・限定する |
| etc. | et cetera | など、そのほか and so on |
同種の項目の列挙を省略する |
| et al. | et alii / et aliae / et alia | ほかの人々など and others |
論文などで著者名の列挙を省略する |
et al. のもとの語形が複数あるのは、ラテン語の文法上の性によって形が変わるためです。英文では、著者の性別に合わせて略記自体を書き分ける必要はありません。また、et al. が指す対象は歴史的・文法的に人だけに限定されるわけではありませんが、科学論文では著者名の省略として読む場面が大半です。
e.g. を “example given” と結び付ける覚え方もありますが、それは英語による語呂合わせです。語源を尋ねられたら、ラテン語の exempli gratia と答えるのが正確です。
e.g. と i.e. は、入れ替えると意味が変わる
次の二つを比べてみましょう。
- Study a prime number (e.g., 2 or 3).
素数を一つ調べなさい。例えば2や3。ほかの素数でも構いません。 - Study the only even prime number (i.e., 2).
唯一の偶数の素数、すなわち2を調べなさい。ここでは対象を2と特定しています。
e.g. の後ろは、説明対象に含まれる例の一部です。列挙がそれで尽くされるとは限りません。i.e. の後ろは、前に述べた内容の言い換えや具体化です。「素数、すなわち2と3」と書くと、素数が2と3だけであるかのような不適切な説明になります。
なお、i.e. は必ず「全項目をリストにする記号」という意味ではありません。a decade (i.e., ten years) のように、単語の意味を説明する使い方もあります。「例えば」に置き換わるか、「すなわち」に置き換わるかで判断すると、両者を区別しやすくなります。
etc. は「この続きも同じようなもの」
etc. は、pens, pencils, erasers, etc. のように、いくつか挙げた後で同種の項目が続くことを示します。省略されたものを読み手が推測できる文脈で使うと自然です。
一方、実験に使った薬品や必要書類を漏れなく指定する場面では、「など」で済ませると何を含むのかが分からなくなります。etc. は、正確な一覧の代わりにはなりません。
et はそれ自体が「and」に当たる語なので、普通は and etc. と重ねません。また、e.g. で例示しているところへさらに etc. を添えると、省略の意味が重複しやすくなります。「e.g. で例を示す」「項目を列挙して etc. で終える」のどちらかに整理するとすっきりします。
et al. は論文の「〇〇ら」
Sato et al. reported the result. は、「Satoらがその結果を報告した」という意味です。Satoだけでなく、ほかにも著者がいることを表しています。et al. だけでは、ほかの著者の人数や氏名までは分かりません。
ピリオドの位置にも理由があります。et は省略されていない単語なので、直後にピリオドを置きません。省略されているのは alii などの部分です。通常の形は et al. であり、et. al. や etal. にはしません。
ただし、何人以上の共著から et al. を使うか、何人目まで名前を書くかは、投稿先や引用スタイルによって異なります。本文中の引用と文末の参考文献一覧でも規則が違うことがあります。「共著なら必ず最初の一人だけでよい」とは覚えず、提出先の指定を確認して下さい。
ピリオド・カンマ・斜体はどうする?
- ピリオド:基本形は e.g.、i.e.、etc.、et al.。略記を文末に置く場合、略記末尾のピリオドと終止符を重ねて二つにはしません。ただし、閉じ括弧の外側に文の終止符が必要になる場合は別です。
- カンマ:e.g., や i.e., のように直後へカンマを置く書き方が広く使われます。本ページの例文もこの形です。ただし、カンマやピリオドの扱いには媒体ごとの流儀があります。
- et al. の後ろ:カンマを自動的に付けるものではありません。文の構造や引用の書式に従います。
- 斜体:ラテン語由来だから必ず斜体にする、というわけではありません。定着した略記として立体で組む媒体が多く、et al. についてもMLAの解説は引用中では立体としています。投稿先に別の指定があれば、そちらを優先します。
- 大文字:本文の途中では通常、小文字です。文頭では For example や In other words などと書き出すと、略記から始めずに済みます。
読むときには四つの意味を区別し、書くときには必要に応じて普通の英語に言い換える。それだけで、短い略記に説明を詰め込み過ぎることを防げます。
参考資料
- Merriam-Webster:The Difference Between i.e. and e.g.:語源と意味の違い。
- Merriam-Webster:et cetera:語義と略記。
- Merriam-Webster:et al.:ラテン語の語形と使用範囲。
- Penn State:e.g. / i.e. / et al.:科学系の英文執筆における句読法。
- MLA Style Center:Should et al. be italicized in MLA style?:斜体と立体の区別についての解説。
資料確認:2026年10月2日。例文は説明用に作成したもので、実在する論文の引用ではありません。
