量子もつれがあっても、超光速で通信できない理由

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量子もつれでは、離れた場所の測定結果に強い相関が現れる。それでも、片方の操作を使って好きな情報を瞬時に相手へ届けることはできない。相関があることと、送り手がメッセージを選んで受け手に識別させられることには違いがある。

相手側だけでは、結果の違いが見えない

二つの量子ビットを、同じ基準で測ると00か11が半々で得られる状態に準備する。片方で0を得れば、もう片方も0だと予測できる。両者の記録を突き合わせれば、強い相関が分かる。

相手が見るのは、自分の装置で得られた0と1の列だけである。その列では0と1がそれぞれ半々に現れる。送り手は測定結果を自由に0か1へ指定できず、「今回は1を送ろう」と決めて同じ結果を相手に出させることもできない。

測り方を変えたら伝わるのか

送り手が測定する基準を変えると、双方の記録を比較した際の相関は変わる。それでも、相手側だけで観測する結果の確率分布は、この操作によって通信可能な形には変わらない。相手は受信した列だけから、どの基準が選ばれたかを読み取れないのだ。

送り手が都合のよい結果だけを選び出す場合も、どの記録を選んだかを相手へ知らせる必要がある。その通知には通常の通信が必要になる。この区別を数学的に表すのが、量子論のノーシグナリング、あるいは通信不可能性に関する定理である。

量子通信で何ができるのか

量子テレポーテーションは、共有したもつれと送り手の測定、通常の通信を組み合わせて量子状態を転送する手順である。受け手が適切に復元するには、送り手から届く古典的な情報が必要で、超光速通信にはならない。

もつれの価値は失われない。量子情報の転送、分散した量子計算、通信の安全性を検証する仕組みなどで利用できる。既知の値をあらかじめ封筒へ入れて配るだけでは再現できない相関を持つことが、ベルの不等式を使う実験で問われる。量子もつれの不思議さと、情報を伝えられる速さの制約は両立している。

本文の00・11の例は、最大にもつれた二量子ビットの状態を特定の基準で測る場合である。一般の量子状態が常に半々の測定結果を与えるという意味ではない。

参考資料

参考資料確認日:2026年10月13日。

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