複雑な音を周波数ごとの成分に分けたり、画像の細かな模様を波として表したりする計算がフーリエ解析である。時間や位置に対して値を並べる代わりに、どの波がどれだけ含まれるかを求める。同じ情報を、別の座標で記述し直す考え方だ。
波を部品として使う
純粋な一つの音は、音圧の周期的な変化として表せる。異なる周波数、振幅、位相を持つ波を足せば、なめらかな波だけでなく、角のある形にも近づけられる。周期的な信号を離散的な周波数の和で表すのがフーリエ級数で、非周期的な信号へ広げるとフーリエ変換になる。
分解する計算では、信号と各周波数の波を重ね、どれだけ対応するかを調べる。正弦波と余弦波の直交性によって、異なる周波数の成分を区別できる。複雑な形を適当な波へ力ずくで当てはめるだけではなく、係数を系統的に求める仕組みがある。
画像にも周波数がある
画像の横方向に白黒がゆっくり変化する模様は低い空間周波数、細かい縞は高い空間周波数に対応する。二次元画像では、縦横の周波数や方向を組み合わせる。輪郭などの急な変化を表すには、多くの高周波成分が必要になる。
周波数成分を減らせばデータを小さくできる一方、細部が失われる場合がある。JPEGで広く用いられる離散コサイン変換も、このような周波数表現と関係する。フーリエ変換自体が情報を捨てるのではなく、成分を削除したり粗く丸めたりする段階で損失が生じる。
振幅だけでは元に戻せない
音のスペクトルを見ると、周波数ごとの強さに目が向きやすい。元の波形を再構成するには、波の位置に対応する位相も必要である。同じ強さの成分を持っていても、位相が違えば時間波形や画像の見え方は変わる。
測定時間が有限なら、その時間だけ切り取った影響も現れる。短い記録では近い周波数を区別しにくく、標本化が粗ければ高い周波数を別の低い周波数と取り違える。高速フーリエ変換(FFT)は離散フーリエ変換を効率よく計算する方法であり、測定に含まれていない情報を増やす方法ではない。
あらゆる関数が同じ意味で点ごとに収束するわけではない。フーリエ解析では、関数の性質に応じて平均二乗の意味での収束や分布など、適切な数学的枠組みを用いる。
参考資料
参考資料確認日:2026年10月13日。
