核融合の燃料を非常に高温にすると、原子核と電子が分かれたプラズマになる。これを普通の容器の壁に触れさせれば、燃料は冷え、壁にも大きな負担がかかる。磁場閉じ込め方式では、荷電粒子の運動を磁場で制御し、高温の領域を壁から離して保つ。
磁場に沿って動く粒子
電荷を持つ粒子が磁場の中を動くと、速度と磁場に垂直な向きの力を受ける。粒子は磁力線の周りを旋回しながら、磁力線に沿って進みやすくなる。磁場そのものが、常に粒子を中央へ押す壁のように働くわけではない。
まっすぐな磁力線では、粒子は両端から逃げやすい。そこで磁場を輪の形にする。さらに、曲がった磁場で生じる粒子のずれを抑えるため、磁力線をねじる構造が必要になる。ドーナツ型の装置は、そのような閉じ込めを実現する一つの形である。
トカマクとステラレータ
トカマクは外部コイルとプラズマ内の電流を組み合わせ、ねじれた磁場を作る。プラズマ電流の制御が重要で、急激な不安定化によるディスラプションへの対策も必要になる。
ステラレータは、複雑な形の外部コイルによって主な閉じ込め磁場を作る。持続運転に適した性質を持つ一方、三次元的な磁場とコイルの設計・製作が難しい。両方式の違いは、装置の外見だけでなく、電流、安定性、運転方法に及ぶ。
閉じ込めても、熱は少しずつ逃げる
実際のプラズマには乱流や衝突があり、粒子と熱が磁場を横切って移動する。反応を維持するには、その損失に対して十分な加熱を行い、温度、密度、エネルギー閉じ込め時間を確保する必要がある。
また、核融合で発生する中性子は電荷を持たないため、磁場で閉じ込められない。周囲の構造物は中性子を受け、熱の回収や材料の損傷対策を担う。燃料の灰や不純物を排出する部分にも熱が集中する。高温を作ること、安定して保つこと、装置全体で熱を扱うことは、関連しながらも別の技術課題なのである。
本稿は磁場閉じ込め方式を扱う。レーザーなどで燃料を急速に圧縮し、短時間のうちに反応させる慣性閉じ込め方式では、閉じ込めの考え方が異なる。
参考資料
- ITER:Superconducting Magnets
- Max Planck Institute for Plasma Physics:Stellarator Theory
- 同研究所:Plasma boundary
参考資料確認日:2026年10月13日。
