気候変動でいう1.5℃は、ある都市の今日の最高気温が1.5℃上がるという意味ではない。地球全体の平均的な温度が、基準となる時代からどれだけ変わったかを表す。場所と時間の平均を理解すると、ニュースの数字を読み分けられる。
地球全体を、面積に応じて平均する
世界の観測点を単純に足して割るだけでは、観測の多い地域が過大に反映される。地球を区画に分けるなどして、各地域の面積を考慮し、陸上の気温や海面水温のデータを組み合わせる。
基準との違いである偏差を使うと、もともと暖かい場所と寒い場所の変化を比べやすい。産業化前の基準として1850~1900年の平均が用いられることが多い。
一年だけの超過と、長期的な温暖化
年ごとの気温には、温室効果ガスによる長期的な変化に加え、エルニーニョなどの自然変動が重なる。ある一年が1.5℃を超えることと、長期平均がその水準に達することは異なる。
WMOは2024年の世界平均の評価でも、この区別を明示した。単年の値は重要な観測結果であり、長期的な目標への到達時期は、複数年にわたる変化から判断する。
平均が小さく見えても、影響は小さくない
世界平均の上昇は、どこでも均等に起きるわけではない。陸と海、季節、緯度によって違う。平均の移動によって、極端な高温の起こる頻度も変わる。
1.5℃は、その前なら被害がなく、その後に突然すべてが変わる境界ではない。温暖化の程度に応じてリスクが増えるため、上昇を少しでも抑えることに意味がある。地域の対策では、世界平均に加えて、その土地の高温や雨の変化を調べる必要がある。
観測機関によってデータの補間や海域の扱いが異なり、世界平均の推定値にも幅がある。気温偏差の基準期間が異なる図を、そのまま比較しないことが重要である。
参考資料
参考資料確認日:2026年10月13日。
