日本の島の数は、長く使われてきた6,852から、国土地理院が2023年に公表した14,125へ大きく変わりました。主な理由は、測量技術の進歩で地図の細部を表せるようになり、一定条件で数え直したことです。この発表で日本の領土や領海が倍になったわけではありません。
1987年の数字と、2023年の数字
| 公表 | 島の数 | 読み取る際の注意 |
|---|---|---|
| 海上保安庁・1987年 | 6,852 | 長く一般に用いられた計数値 |
| 国土地理院・2023年2月28日 | 14,125 | 2022年1月時点の電子国土基本図を用いた計数 |
差は7,273島で、数だけなら約2.06倍です。しかし、この差を「1987年から2023年までに新しく生まれた島の数」と解釈することはできません。異なる時点の地形変化だけでなく、資料の詳しさと計数の処理が結果に関わるためです。国土地理院は、地図表現の詳細化が大きく影響していると説明しています。
何を一つの島として数えたのか
2023年の計数では、法令等に基づく島を重複なく数えた上で、それ以外については電子国土基本図の陸地から、海岸線の周囲長が0.1km以上で、資料から自然に形成されたと判断できる陸地を対象にしています。湖沼など内水面の島は対象外です。
0.1kmは100mです。これは面積100平方メートルという条件ではなく、周囲の長さの条件です。同じ面積でも、細長い形や複雑に入り組んだ形なら周囲は長くなります。この違いは、海岸線の長さと測り方にも関係します。
なお、周囲100mという値は、世界共通の「島の定義」ではありません。自然にでき、水に囲まれ、高潮時にも水面上にあるという島の定義と、統計を作るときの計数条件は別です。今回の14,125は、明示した条件で得た数値として読む必要があります。
地図が詳しくなると、個数が変わる
小さな岩礁や狭い水路は、粗い地図では省略されたり、一つのまとまりに見えたりします。より細かな地形を記録できれば、離れた陸地として区別できる場所が増えます。また、海岸の曲がり方が詳しく表現されれば、周囲長の判定も変わり得ます。
国土地理院は江の島周辺を例に、日常的には一つの島の周りと思われる範囲にも、条件に該当する7島があることを示しています。「江の島」という地名のまとまりと、地図上で水に囲まれた陸地を数える単位は一致しないのです。
説明用の例として、従来の資料には小島Aだけが記録され、新しい資料では近くの小島BとCも判別できたとします。数は1から3へ増えますが、BとCがその時点で突然できたとは限りません。観測・記録が細かくなったことによる増加と、噴火などで陸地が生まれる物理的増加は、区別して考えます。
島の個数から、国土面積は求められない
面積はそれぞれの陸地が占める広さを足す量、個数は基準を満たすまとまりを数える量です。大きな島が1島ある場合と、小さな島が100島ある場合のどちらが広いかは、個数だけでは決まりません。
国土地理院は、国土面積は電子国土基本図の全ての陸地を対象に計測しており、今回の島の数の公表は面積に影響しないとしています。計数条件から除かれた小さな自然地形や人工の陸地が、それだけで領土から消えるわけでもありません。この数字の更新が領土・領海に影響しないことも、発表で明記されています。
これから数字を見るときの確認点
島の数を比較するなら、公表年だけでなく、元にした地図の時点、最小の大きさ、人工島の扱い、湖の島を含むかを確かめます。同じ「日本の島の数」でも、観光地として名のある島だけ、有人島だけ、離島振興法の対象だけなど、集計目的が違えば値も違います。
地形は噴火、侵食、堆積、地殻変動などでも変わり、地図の精度も更新されます。14,125を永遠に変わらない定数と考えるより、「この資料と条件で日本の地形を数えた値」と捉える方が、数字の意味を正しく理解できます。
参考資料
- 国土地理院「我が国の島を数えました」:2023年公表、1987年との比較、領土・領海への影響
- 国土地理院「日本の島の数」:計数条件・江の島周辺の事例
- 国土地理院「我が国の島の数の計数方法」:周囲長・自然形成・内水面除外の条件
資料確認日:2026年10月2日。本文の数値例・模式図は、特記したものを除き本記事の説明用に作成しています。
