再圧縮で、細かな画像情報が丸められる
一般的なJPEG画像を開いて編集し、再びJPEGとして圧縮保存すると、細かな明暗や色の情報が失われることがあります。JPEGで広く使われる非可逆圧縮は、元の画素を完全に戻すことよりも、見た目とファイルサイズの釣合いを優先するためです。すでに圧縮された画像を再び処理すると、新たな丸めが加わる場合があります。
ただし、ファイルをコピーしただけ、移動しただけ、画面で開いて閉じただけなら、普通は画像データを再圧縮していません。「JPEGは見るたびに劣化する」という説明は誤りです。何をしたときに中身が書き換わるのかを分けて考えましょう。
JPEGは、画像をどのように小さくするのか
一般的なDCT方式のJPEGでは、画像の成分を8×8のまとまりで扱い、明暗や色の変化を周波数成分に分けます。その成分を量子化という処理で粗い値へ丸め、さらに効率よく符号化します。量子化で捨てられた細かな差は、復号時に正確には戻せません。
多くのJPEGでは、明るさの情報に比べて色の情報の解像度を減らす色差の間引きも使われます。ただし、必ず同じ間引き率を使うわけではなく、使わない設定もあります。またJPEG規格には可逆の方式も含まれるため、ここでは日常の写真ファイルで広く使われる非可逆のDCT圧縮を対象にしています。
どのような変化が見えるのか
| 画像の部分 | 見え方の例 | 理由の手掛かり |
|---|---|---|
| 細かい模様や髪の毛 | 細部がなめらかになる | 細かな変化が丸められる |
| 文字やくっきりした輪郭 | 周囲ににじみや波状の模様 | 急な変化を限られた成分で表す |
| 強い圧縮をした領域 | 四角い区切りが見える | ブロックごとの処理の差が目立つ |
| 色の違う細線の境界 | 色がにじむ | 色差の間引きなどの影響 |
写真では気付きにくい差でも、文字のスクリーンショットや細い線の図では目立つことがあります。同じ画質設定であっても、空のような滑らかな画像と、草木のように細部の多い画像では、サイズや見え方が同じにはなりません。
「保存を一回」の意味はアプリによって違う
編集後に画素へ戻してJPEG圧縮をやり直す保存は、追加の変化を起こし得ます。一方、画像部分を変更せずメタデータだけを編集する処理や、条件を満たすJPEGの可逆変換では、同じ意味の再圧縮をしないことがあります。jpegtranのように、圧縮された係数を利用して変換するツールもあります。
90度回転や切抜きをすれば必ず無劣化になるわけではありません。対応ツールかどうかに加え、画像の寸法やブロックの境界などの条件があります。また、向きのメタデータを変えるだけの操作と、画素自体を回転する操作も別です。具体的な保存方法はアプリの説明で確認します。
画質100でも、元の情報は復活しない
多くのソフトには画質の数値がありますが、数値と圧縮パラメーターの対応はソフトごとに異なります。別のアプリの「90」を同じ画質だと決めつけることはできません。最大値へ上げても、以前の圧縮で捨てた細部が復元されるわけではありません。
さらに、再保存では画像の見た目だけでなく、撮影日時、位置情報、色プロファイルなどの付随情報が変わったり削除されたりする場合があります。これは量子化による画質変化とは別の問題です。サイズが減った理由も、画像の圧縮が強まったためなのか、メタデータが除かれたためなのかで意味が違います。
劣化を抑える保存の考え方
元のJPEGやRAWは残し、編集途中は目的に合う可逆形式や編集ソフトの作業形式で保存します。完成時に必要なサイズと画質でJPEGを書き出すと、書き出したJPEGを何度も編集して再圧縮する工程を減らせます。PNGへ変えれば過去の劣化が消えるわけではありませんが、変換後の画素を可逆に保存することはできます。
最終確認では、全体を縮小して見るだけでなく、文字や輪郭を等倍でも確認します。必要な用途で違いが問題になるか、サイズとの釣合いを見て判断しましょう。大事なのは保存回数という数字だけではなく、どのデータを、どの設定で、再圧縮しているかです。
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参考資料
資料確認日:2026年10月2日
