あるニュースが誤りだと知った後も、その情報を使って出来事を説明してしまうことがある。訂正を読んだ事実と、最初の説明が推論へ及ぼす影響は、別々に残り得る。心理学では、訂正後にも誤情報の影響が続く現象を継続的影響効果と呼ぶ。
訂正は、最初の記憶を消す操作ではない
新しい情報を受け取っても、最初に読んだ内容が記憶から完全に消えるとは限らない。誤った説明と、それを否定する訂正が、ともに思い出せる状態になる。考える場面によって、どちらが取り出されるか、どう結び付けて使われるかが問題になる。
このため、誤情報を思い出せること自体と、それを正しいと信じていることは区別する必要がある。誤りを説明するために、その内容を覚えている場合もある。研究が調べるのは、記憶にあるかだけでなく、判断や理由付けへ使われ続けるかという点である。
出来事の説明に、穴が残ることがある
例えば、火事の原因をある物質だと聞けば、人はその情報を使って出来事の筋道を作る。後からその物質はなかったと訂正されると、原因を説明していた部分が失われる。元の説明が思い出しやすいままだと、推論へ再び入り込む余地が生じる。
こうした現象については、記憶の取り出し方と、出来事について作った理解の更新の両面から研究が進められている。最初の話を信じる人の性格だけへ原因を求めるより、情報がどの順で与えられ、どの説明として組み込まれたかを見ることが重要になる。
訂正には、正しい理解を組み直す役割がある
訂正では、何が誤りで、確認された事実は何かを明確にすると、元の話との関係が分かりやすくなる。分かっていない部分を埋めるために、新しい推測を事実として加える必要はない。現在どこまで分かるかを示すことも、説明の更新に含まれる。
誤情報が生まれた事情を付け加えれば、必ず訂正が強くなるわけでもない。誤情報の由来を説明する効果を調べた研究では、説明なしの訂正を上回る効果が確認されない条件もあった。訂正の有効性は一つの技巧で決まらず、内容、文脈、時間の経過とともに検討する必要があるのである。
訂正後に影響が残るという結果は、訂正が無意味であることを示さない。影響がどれだけ減ったかと、完全になくなったかは、別の評価である。
参考資料
- University of Bristol:The psychological drivers of misinformation belief and its resistance to correction
- Does explaining the origins of misinformation improve the effectiveness of a given correction?
- University of Bristol:Keeping Track of ‘Alternative Facts’
参考資料確認日:2026年10月14日。
