天然ガスの値上がりは、家庭の光熱費だけでなく、農業にも波及する。窒素肥料の原料になるアンモニアを作る際、天然ガスが水素の原料やエネルギー源として使われるためである。
肥料の原料を作る化学工業
植物が必要とする窒素を、利用しやすい形で供給するのが窒素肥料の役割である。アンモニアはその重要な出発物質になる。製造では窒素と水素を反応させ、多くの設備で天然ガスから水素を得る。
天然ガスの費用が上がると、肥料の製造費も上がりやすい。採算が悪化して工場が減産すれば、供給量の減少を通して価格へ影響する。IEAはエネルギー危機と食料危機を結ぶ経路として、この関係を分析している。
農家の判断を通じて、時間差で伝わる
肥料が高くなると、農家の費用が増える。使用量や作付けする作物を変える判断につながる場合もある。収穫量への影響は、土壌や作物、天候、もともとの施肥量によって異なる。
肥料を買う時期と、収穫して販売する時期には間がある。在庫や契約もあるため、天然ガスの価格変化が同じ月の食品価格へ同じ割合で表れるわけではない。
店頭価格には、さらに多くの工程がある
食品価格には、農産物の原価に加え、加工、冷蔵、輸送、包装、販売の費用が含まれる。これらも燃料や電力の影響を受ける。輸入品では為替や輸出規制も関わる。
肥料にはリンやカリウムを供給するものもあり、原料と生産地は窒素肥料と異なる。食料供給の安定性を考えるには、肥料を一種類として扱わず、資源、製造、農業の各段階を分けて見る必要がある。
天然ガス価格と食品価格の関連は、一対一の換算関係ではない。ある時期の同時上昇だけから、食品価格の変化のすべてを肥料へ帰属させることはできない。
参考資料
参考資料確認日:2026年10月13日。
