ピクトグラムは本当に言葉なしで通じる?

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言葉の壁を減らすが、誰にでも自動的に通じるわけではない

ピクトグラムは、物や行為を単純な図で示し、文字を読めなくても情報を得やすくするものです。しかし、すべての人が初めて見て同じ意味を理解するとは限りません。図が何に見えるかだけでなく、文化的な経験、設置場所、周囲の表示、覚えた約束によって読み方が変わります。

そのため、単純な絵を描けば、それだけで国際的な案内になるわけではありません。実際に使う人が意図した意味を理解できるかを確かめ、必要なら文字やほかの案内を組み合わせます。

「見える」と「意味が分かる」は別

例えば食器の絵だと分かっても、それがレストラン、食器売場、飲食可能な場所のどれを示すかは、周囲の文脈で変わり得ます。図の構成要素を識別できることと、管理者が意図する案内内容を理解することは別の課題です。

場所が分かっている人には当然に見える記号でも、初めて訪れた人はその前提を持っていません。矢印が指す先、図が取り付けられた扉、他の施設名との並びなどが意味を補います。案内は一つの図だけで完結せず、設置された環境の中で働いています。

温泉マークが示す、慣れと国際的な分かりやすさ

日本でなじみのある温泉マークは、温泉や入浴の文化と結び付いて理解されています。政府広報の2017年の紹介では、訪日外国人にも分かりやすくするため、案内用図記号のJISが改正された経緯が説明されています。温泉については従来の図とISOの図を選択できる扱いが紹介されました。

この例は、「昔の記号はすべて間違い」「海外の記号なら全員に通じる」という話ではありません。既存の利用者に定着した意味と、初めて見る人にも分かりやすい表現をどう両立させるか、という設計の問題です。実際に設置する際は、現在の規格と施設に適用される案内を確認します。

理解できるかを、利用者で試す

ISO 9186-1は、図記号が意図した意味をどの程度伝えられるかを調べる方法を扱う規格です。ISOの公開概要も、説明文なしで理解できる図を目指しつつ、難しい場合は対象利用者の言語による補足が必要になることを示しています。規格があること自体が、直感だけでは判断し切れないことを物語っています。

試すときは、設計した人が意味を先に教えてから「分かりますか」と聞くだけでは、初見の理解を確かめにくくなります。対象となる人に、何を意味すると思うかを答えてもらい、どのような誤解が生じるかを見ることが重要です。実際の試験は目的に合う規格や手順に従います。

使うときに確認したい五つのこと

伝わる案内にするための確認点
観点 確認すること
意味 何の場所・物・行為を示すか明確か
利用者 初めての人や異なる言語の人にも伝わるか
見え方 距離、照明、背景との明暗差、小ささに耐えられるか
配置 矢印や設置位置が、意味と矛盾しないか
補足 文字、音声、触覚など別の手段が必要か

色だけで区別すると、その色の差を捉えにくい人や、白黒の複写で意味が失われることがあります。形や文字なども組み合わせると、情報の手掛かりを増やせます。視覚的な図記号だけでは情報を得にくい人もいるため、ピクトグラムを置いたことだけで案内の配慮が完了するわけではありません。

安全に関わる表示は、独自の絵へ置き換えない

非常時の誘導や禁止・警告などでは、意味の取り違えが大きな結果につながります。施設の安全表示を見た目の好みで描き直すのではなく、適用される規格や設置要件を確認し、所管や専門家の案内に従う必要があります。経済産業省も、案内用図記号と災害種別に応じた避難誘導の標識を整理して紹介しています。

ピクトグラムの強みは、言葉を全部なくすことではなく、言葉が読めなくても情報へ近づけることです。共有された約束、利用者による確認、適切な場所と大きさ、必要な補足を組み合わせることで、その強みが生きます。

参考資料

資料確認日:2026年10月2日

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