実験の結果を見てから「この条件なら差が出る」と気づくことは、研究では珍しくない。そこから新しい仮説が生まれる。最初からその差を予測していた研究として発表すると、証拠の強さが変わってしまう。この区別を記録に残す仕組みが、事前登録である。
結果を見る前に決めたことを残す
事前登録では、研究の問い、測定する項目、対象数、データを除外する条件、分析方法などを、結果に合わせて変更する前に記録する。いつ、何を予定していたのかを第三者が確かめられるようにする。
例えば、新しい学習法を評価するとき、主要な指標を翌日の試験点数にするのか、一か月後の点数にするのかで結論が変わり得る。多数の指標から最もよい結果だけを選ぶ場合と、先に指定した指標で効果が出る場合を、同じ重みでは扱えない。
探索を止める仕組みではない
予想外の結果を調べる探索的分析には価値がある。年齢別に見たら効果の方向が違う、ある測定条件だけで異常が起こる、といった発見が次の研究につながる。
重要なのは、予定していた分析と、データを見てから追加した分析を区別することである。計画を変えたなら理由と時点を示す。探索から得た仮説は、新たなデータや独立した実験で検証する。事前登録を推進するCenter for Open Scienceも、この区別を中心に据えている。
結果の派手さより、問いと方法を評価する
Registered Reportsという出版形式では、結果が出る前に研究計画を査読する。問いと方法が認められ、合意した手順などの条件を満たせば、期待どおりの結果が出たかどうかに左右されにくい形で掲載を判断する。
事前登録だけで、測定の質や分析の妥当性が保証されるわけではない。曖昧な計画では、結果に合わせる余地が残る。何を確かめる研究なのかを具体化し、その後の変更も読めるようにすることに意味がある。
既存データを使う研究でも、対象となる結果を分析する前に計画を登録できる場合がある。どこまでデータを見ていたかも、併せて記録する。
参考資料
参考資料確認日:2026年10月13日。
