値下げをすれば買う人が増えるかもしれない。一個当たりに受け取る金額は減る。売上が増えるかどうかは、この二つの変化を掛け合わせて決まる。安くしてたくさん売るという方針には、どれだけ多く売れるかという条件が付いている。
単価と個数を掛けて比べる
一個100円の商品が10個売れれば、売上は1,000円である。90円へ値下げして11個売れても、売上は990円にとどまる。12個なら1,080円になる。販売数が増えたという情報だけでは、売上の増減は判断できない。
経済学では、価格の変化に対して需要量がどれほど反応するかを、需要の価格弾力性で表す。小さな変化を考えると、価格の低下率に対して数量の増加率が十分に大きい場合、値下げが売上を増やす方向へ働く。
買い替えや代替のしやすさが関わる
似た商品へ簡単に切り替えられる市場と、代わりが少ない市場では、価格への反応が異なり得る。今日すぐには買い方を変えられなくても、時間があれば別の商品を探せる場合もある。弾力性は商品の名前だけに固定された性質ではない。
一つの店の値下げは、他店から客を呼び込む効果も持つ。市場全体の消費量が増えたのか、買う店が移ったのかも別の問いである。値下げ前後を比べる際には、季節や広告など、同時に変わった条件にも目を向ける必要がある。
売上と利益を分ける
先ほどの商品で、一個を用意する費用が80円だと仮定する。100円で10個なら、固定費を差し引く前の差額は200円である。90円で12個売っても差額は120円になる。売上が増えても、残る利益が増えるとは限らない。
在庫を減らす、初めての客に試してもらうなど、値下げの目的は当期の売上以外にもある。その場合も、何を成果として測るかを先に決めたい。価格の判断は、安い方が売れるという直感を、数量、費用、時間の関係へ分解するところから始まる。
数値例は税や固定費を省いた仮定である。有限の値下げでは、下落率と同じ割合だけ数量が増えても、元の売上に戻らない場合がある。
参考資料
参考資料確認日:2026年10月14日。
