非常に良い成績の後に、少し平凡な成績が続く。反対に、特に悪い結果の後に改善が見られる。能力や環境が変わらなくても、このような傾向は起こり得る。極端な観測値を選んで次を比べることで現れる「平均への回帰」である。
成績には、持続する部分と変動する部分がある
テストの点数を、比較的安定した実力と、その日の体調や問題との相性などの変動に分けて考える。最高得点を取った人々には、実力が高い人に加え、その日に良い条件が重なった人も含まれる。
同じ人が次に受けるテストでは、前回と同じ幸運が必ず続くわけではない。極端に高い得点を条件に選んだ集団は、次の測定で平均に近づきやすくなる。実力が高い人が平均以下になる、という主張ではない。前回ほど極端な結果にならない傾向を指している。
改善策の効果と混同しやすい
点数が特に低かった人だけに補習を行い、次のテストで点数が上がったとする。この前後差には、補習の効果だけでなく、平均への回帰も含まれ得る。売上が悪かった店舗への指導や、症状が強い日に始めた対処でも、同じ構造の問題が起こる。
効果を調べるには、同じ選び方をした比較群を設け、介入した群との差を確かめる。複数回の測定から普段の水準を推定しておくことも役立つ。一回の極端な値を、その人や店舗の恒常的な状態と見なさないためである。
次は必ず反対に振れる、という法則ではない
平均への回帰は、運が帳尻を合わせる仕組みではない。独立なコイントスで表が続いても、次に裏が出やすくなるわけではない。前回の結果が次回を押し戻すのではなく、極端な観測値を選んだことと、反復測定が完全には一致しないことから生じる。
実際には能力も環境も変化する。平均への回帰を知っているからといって、すべての改善や悪化を偶然で片付けることもできない。極端な時点からの前後比較だけで原因を決めず、比較群、長期の記録、変化した条件を併せて検討するのである。
平均への回帰がどの程度現れるかは、測定の相関、誤差、対象集団、選抜条件によって変わる。個々の人の次回の結果を確定的に予測する法則ではない。
参考資料
参考資料確認日:2026年10月13日。
