ゴムは、なぜ伸びた後に縮もうとするのか

雑記Topに戻る

輪ゴムを引っ張って放すと、元の長さに近づく。金属のばねと似た動きに見えるが、ゴムでは長い分子の形の自由さが重要になる。伸びた分子鎖は、熱による運動の中で、より多くの形を取れる状態へ戻ろうとする。

長い分子は曲がりくねっている

ゴムを構成する高分子は、多数の原子がつながった長い鎖である。力を加えていないとき、鎖はさまざまな向きに折れ曲がる。引き伸ばすと鎖の向きがそろい、全体として細長い配置が増える。

この変化は、すべての原子間の結合を大きく引き伸ばすこととは違う。輪ゴムが大きく伸びる範囲では、鎖の形が変わる余地が大きな役割を持つ。絡んだひもを引くと長く見えるようになる様子が、形の変化を考える手掛かりになる。

戻る力とエントロピー

分子鎖が曲がりくねった状態を実現する組合せは、強く引き伸ばされた状態の組合せより多い。熱運動のある系では、この状態の数が復元力に関わる。ゴム弾性は、エントロピーという量が身近な力として現れる例である。

エントロピーを単に乱雑さと呼ぶだけでは、何が数えられているかが曖昧になる。ここで注目するのは、同じ程度の長さのゴムを作る分子の配置が何通りあるかである。外から力を加えて伸ばすことは、その自由度を制限することになる。

網目があるから戻れる

分子が自由にすり抜けるだけなら、材料は流れたり、変形したままになったりする。ゴムでは架橋などによる網目が分子鎖をつなぎ、巨視的な形の回復を支える。柔らかい鎖と、それをつなぎ留める構造の組合せが重要である。

温度や引き伸ばす速さを変えると、ゴムの応答も変わる。長く力を加える場合には時間依存の変形も起こる。復元力を一つのばね定数だけで表せる範囲を越えると、分子の運動や材料の履歴まで考える必要が出てくる。

ゴムの力学にはエントロピーだけでなく、分子間相互作用や結晶化なども関わる。本稿は、エントロピー弾性の基本的な考え方を説明したものである。

参考資料

参考資料確認日:2026年10月14日。

雑記Topに戻る