数が少ない品に高値が付くことと、高価な品だから欲しくなることは、違う仕組みである。前者は供給と需要の関係、後者は価格が持つ情報や社会的な意味に関わる。同じ高額商品にも、複数の理由が重なっている。
少なければ必ず高いのか
ある作家の一点物でも、欲しい人がいなければ高値で取引されるとは限らない。希少性が価格へ結び付くには、それを求める需要が必要である。代わりになる品が少ないかどうかも、支払ってよいと考える額に影響する。
例えば人気公演の座席数が限られる場合、座席を求める人数との関係が価格へ作用する。ここでは、買い手が高値そのものを好んでいる必要はない。同じ席を安く買えるなら、その方を選ぶ人でも、供給が限られれば高い支払いに直面する。
価格が魅力の一部になる
高い価格は、品質がよいという推測や、富や地位を示す意味を持つことがある。品質を直接確かめにくい商品で、価格を手掛かりにする判断と、他人に高価な物を持っていると見せる動機は区別できる。
ヴェブレン効果を扱う経済モデルでは、富を示して社会的地位を得たいという動機が、価格と需要の関係を変える条件が研究されている。購入が他人に見える場合と見えない場合を変え、地位への関心が消費へどう関わるかを調べる実験も行われている。
値上がりと人気をどう読むか
値上がりと同時に売上が増えても、それだけで高値が需要を生んだとは言えない。流行、品質の改善、広告、所得の変化などが同時に起きているかもしれない。価格だけを変えたときに、同じ人がどう選ぶかという比較が必要になる。
希少な商品が高くなり、その価格がさらに特別感を作るように、仕組みが連鎖する場合もある。購入理由を考える際には、使う価値、入手の難しさ、他人への見え方を分けてみるとよい。「高いから価値がある」という一文にまとめると、何に対して支払っているかが見えなくなるのである。
高価な商品全般をヴェブレン財と呼ぶわけではない。品質や希少性が高価格を説明する場合と、価格の高さ自体が需要を押し上げる場合は区別する。
参考資料
- Bagwell・Bernheim:Veblen Effects in a Theory of Conspicuous Consumption
- Clingingsmith・Sheremeta:Status and the Demand for Visible Goods
- NBER:Conspicuous Consumption, Pure Profits, and the Luxury Tax
参考資料確認日:2026年10月14日。
