前回に続き、先月末の「常温常圧で超伝導現象を示す物質『LK-99』の合成に成功した」というニュースに関する続報をまとめる。騒動の発端となった原著論文が投稿されてから本日でちょうど1ヶ月が経過し、複数の研究チームによる再現実験のデータが集まってきた。本稿では主な追試結果について簡単に紹介する。
LK-99は本当に常温常圧超伝導を達成しているのか
先月末、「常温常圧で超伝導を示す物質が作成できた」というニュースが飛び込んできた。合成の成功を主張しているのは韓国の高麗大学の研究チームである。超伝導転移温度は歴代最高温度を大幅に塗り替える127℃と報告されており、これが常圧(大気圧)下で超伝導性を発現するとのことである。現在様々な追試が世界中で進められており、ネット世界をリアルタイムで大いに騒がせている。
本稿では、現時点におけるこの周辺の状況について情報を整理したい。
20年代は価値のインターネットの時代か
最近何かと話題に上る暗号資産「ビットコイン」とその根底にあるブロックチェーン技術について(個人的な憶測や誤った知識も多分に含まれているだろうが)雑多にコメントしてみたい。 “20年代は価値のインターネットの時代か” の続きを読む
オールベンゼンノットのxyz座標(xyz-coordinates of the all-benzene trefoil knot)
オールベンゼンノットの3Dデータについてのメモを公開する。
“オールベンゼンノットのxyz座標(xyz-coordinates of the all-benzene trefoil knot)” の続きを読む
「ペンタダイヤモンド」に関する騒動について
先月の頭に「ダイヤモンドよりも硬い物質が予測できたかもしれない」というニュースが舞い込んできた。物性科学界隈ではビックニュースか、と期待をもって受け取られていたが、結論から言うと、この出所となる論文に重大な計算ミスが発覚したため取り下げられてしまった。今更ほじくり返すのも顰蹙を買ってしまいそうではあるが、他山の石とするべく敢えて書き残しておく。
多項式のラプラス変換の一般化
電磁気的な現象や化学反応の速度論を解析する場合、(連立)微分方程式を解く必要が生じる。この際に有用な数学的な処理にラプラス変換がある。本稿では一般の多項式に対するラプラス変換について述べる。
花火の組成と反応
本稿では花火(Fireworks)における物質の役割について簡単に解説する。
人工知能(AI)の基礎知識
AIブームと言われて久しい。だが未だに「人工知能=何かすごそう」程度の認識で止まっている方も少なからずいるのではないだろうか。本稿では近年隆盛を極めているAI周辺の知識を整理したいと思う。
和積の公式・積和の公式は暗記すべきか?
三角関数の学習が進んでくると出くわすのが「和積の公式」や「積和の公式」と呼ばれる公式群である。これに関して、世の中には「その場で導出」派と「このくらいは暗記」派が存在している。本稿では明治時代の文献を引っ張り出して考えてみる。取り留めの無い記事ではあるが、暫しお付き合い頂きたい。
シグモイド関数の数理
「シグモイド関数」は科学的に重要な関数の一つであり、入試問題の題材としてもよく見かけるが、高校(大学も?)においてその具体的な性質について学ぶ機会はあまり無いと思われる。或いは、そのような関数を目にしていても、それがシグモイドと呼ばれているとは知らない人も居るかもしれない。そこで本稿ではシグモイド関数の性質について解説していくことにする。