整数第2章第1節 1.数の分類

1.整数ということ

整数分野では当然ながら整数を扱うのですが、整数というものがどんなものなのか知らなければ話が進みません。この節では整数の性質についておさらいしておきます。
この節では余りにも当たり前の内容しか書かれていないので、「知っとるがな!」と言いたい人がほとんどでしょうが(笑)、大事なことなので今一度お付き合い下さい…。


1.1 数の分類~数えられる数と数えられない数~

「数」の具体的な分類について見ていきます。「数」には様々なカテゴリが存在しますが、大学受験までに学校で学ぶ最も広範な「数」の集合は「複素数」です。整数とは「数」のごく一部を占めるに過ぎないとても小さな領域なのですが、侮ってはいけません。整数の世界は皆さんが考えている以上に限りなく広く、深いのです。

今まで皆さんは学校で、

「自然数」(natural number $=\mathbb{N}$)

「整数」(integer $=\mathbb{Z}$ )

「有理数」(rational number ($=\mathbb{Q}$))
(「小数」(decimal))

「無理数」(irrational number)
(実数(real number) $=\mathbb{R}$)

「複素数」(complex number $=\mathbb{C}$)
(虚数(imaginary number))

という順で「数」を拡張してきたはずです(まだ習ってないという方もいるかもしれませんが…)。

当然のことながら、整数分野では「整数」を扱います。しかし問題によってはその他の数も相手にしなくてはならないことも多々あります。具体的な問題は後で取り上げるとして、まずは整数の性質を理解しておく必要があります。

「自然数」とは恐らく人類が最初に発見したであろう数です。自然数は1、2、3、…と指を折って「数える」ことができる数です。これに「負の整数」と「0(ゼロ)」を加えた集合が、私たちのよく知っている「整数」という集合になります。整数も自然数と同様に「数える」ことができる数です。即ち、整数は、

数直線上のある一定区間に有限個しか存在しない』・・・(*)

 という性質を持ちます。これは「数」の世界では非常に特殊な性質なのです。実はこの性質に整数問題の核心部分が潜んでいることもしばしばあるので、皆さんしっかり覚えておきましょう。

それ以外の数、例えば有理数では(*)の性質が成り立ちません。試しに0と1の間にある有理数を「数えて」みましょう。$\dfrac{1}{2}$は確かに0と1の間にありますね。$\dfrac{3}{4}$も0と1の間にあります。$\dfrac{5}{9}$や$\dfrac{11}{84}$なんかもそうです。この調子でいけば幾らでも有理数を「数える」ことができてしまいますから、(*)の性質が成り立たないことが納得できると思います。これは最終的に「有理数の稠密性(ちゅうみつせい)」という込み入った議論に帰着するのですが、ここでは取り扱いません。興味のある人は専門書などを参考にしてみて下さい。

同様に無理数や複素数も(特別な限定をしない限り)「数える」ことはできません。何はともあれ整数が

『数直線上のある一定区間に有限個しか存在しない』

という性質を持つことは納得しなければならない事実です。整数とは、他の数では成立しない特別な性質を持った数であることが理解できたと思います。次の項では、具体的にどのような種類の整数があるのかを見ていきます。

 

 

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