問題#B019 ★★☆☆
$a_1=1$、$a_{n+1}=10a_n+1 \ (n=1,2,\cdots)$ で定められる数列$\{ a_n \}$に現れる平方数は$1$のみであることを示せ。
《ポイント》
素数は一旦お休みして、ここからは再び平方数のお話です。
さて、問題文の提示のされ方には何種類かあって、本問は割と親切なタイプです。というのも、この問題は次のような出題のされ方も考えられるからです。
「$a_1=1$、$a_{n+1}=10a_n+1 \ (n=1,2,\cdots)$ で定められる数列$\{ a_n \}$に現れる平方数をすべて求めよ。」
お気付きだと思いますが、この場合だとヒントが減っています。つまり $a_1=1$ が特別かどうかに関する情報が一切与えられていないのです。そこで私たちが考えるべきことはなぜ $a_1=1$ が特別なのか、また、$a_2$以降の数はなぜ平方数でないのか、ということです。ある数が平方数にならないという条件を余りの世界で考えるとアレしか使えないはずです。そうです、アレです。
次に数列の形を少し見てみると、$a_1=1$、$a_2=11$、$a_3=111$、$\cdots$、となり、$1$が$n$個連なるのが$a_n$のようです。この形から割る数を選びます。
《解答例》
$a_1=1$は平方数、$a_2=11$は平方数でない。
$3$以上の整数$n$に対して$$a_n=\underbrace{111 \cdots 111}_{n-2個}00+11 $$と表すことができる。$\underbrace{111 \cdots 111}_{n-2個}00$は$100$の倍数だから$4$で割り切れる。故に $n \geqq 3$ のとき$a_n$を$4$で割ったときの余りは、$11$を$4$で割ったときの余りである$3$に一致する。
故に$3$以上の整数$n$に対して$a_n$を$4$で割ったときの余りは$3$である。ここで、$4$で割ったときの余りが$3$であるような正の整数は平方数になり得ないから、 $n \geqq 3$ のとき$a_n$は平方数になり得ない。
故に数列$\{ a_n \}$に現れる平方数は $a_1=1$ のみである。
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《コメント》
平方剰余の使い方には色々ありますが、大抵は「平方数にならない」ことを示すときに絶大な威力を発揮します。入試で使う場面はそれほど多くありませんが・・・。