問題#C008

問題#C008 ★★★☆

次の方程式を満たす整数の組$(x,y)$をすべて求めよ。

(1)$x^2=y^2-2y+4$

(2)$x^3=y^3+7$

(3)$x^3=91-y^3$


《ポイント》

入試で出題されるのはこの辺りが限度です。基本的には因数分解で押し切りますが、絞り込みも併用した方がスムーズに解決できることがあります。


《解答例》

(1)

$$x^2=y^2-2y+4$$ $$\therefore x^2=(y-1)^2+3$$ $$\therefore x^2-(y-1)^2=3$$ $$\therefore (x-y+1)(x+y-1)=3$$

よって$(x-y+1,x+y-1)$の可能な組み合わせは以下のようになる。

$(\pm 1,\pm 3)$、$(\pm 3,\pm 1)$ (複号同順)

故に求める整数組は

$(x,y)=(\pm 2,0)$、$(\pm 2,2)$

となる。

(答)$(x,y)=(\pm 2,0)$、$(\pm 2,2)$

(2)

$$x^3=y^3+7$$ $$\therefore (x-y)(x^2+xy+y^2)=7$$

よって$(x-y,x^2+xy+y^2)$の可能な組み合わせは以下のようになる。

$(\pm 1,\pm 7)$、$(\pm 7,\pm 1)$ (複号同順)

$(x-y,x^2+xy+y^2)=(1,7)$ のとき$$x^2+x(x-1)+(x-1)^2=7$$ $$\therefore 3x^2-3x+1=7$$となり $(x,y)=(2,1)$、$(-1,-2)$ を得る。同様にして順次調べると適する組は $(x-y,x^2+xy+y^2)=(1,2)$ のときのみで、$(x,y)=(2,1)$、$(-1,-2)$ を得る。故に求める整数組は

$(x,y)=(2,1)$、$(-1,-2)$

となる。

(答)$(x,y)=(2,1)$、$(-1,-2)$

《(2)別解 》

$$\begin{align}& \ \ \ \ \ x^2+xy+y^2 \\ &=\left( x+\dfrac{1}{2}y\right)^2+\dfrac{3}{4}y^2 \\ &> 0 \ (\because (x,y)\ne 0)\end{align}$$

より、$(x-y,x^2+xy+y^2)=(1,7)$、$(7,1)$に限られるが、$x-y=7$ のとき $x^2+xy+y^2=1$ は明らかに成立しない。よって適する組は $(x-y,x^2+xy+y^2)=(1,2)$ のときのみで、$(x,y)=(2,1)$、$(-1,-2)$ を得る。

(以下同様)

(3)

$$x^3=91-y^3$$ $$\therefore (x+y)(x^2-xy+y^2)=91 \ (=7 \cdot 13)$$

となるが、

$$\begin{align}& \ \ \ \ \ x^2-xy+y^2 \\ &=\left( x-\dfrac{1}{2}y\right)^2+\dfrac{3}{4}y^2 \\ &> 0 \ (\because (x,y)\ne 0)\end{align}$$

より、$x+y=a$、$x^2-xy+y^2=b$ と置くと、$(a,b)=(1,91)$、$(7,13)$、$(13,7)$、$(91,1)$ に限られる。

ここで、$x^2-xy+y^2=(x+y)^2-3xy$ により$$xy=\dfrac{(x+y)^2-(x^2-xy+y^2)}{3}$$となるから、組$(x,y)$は次の2次方程式$$t^2-at+\dfrac{a^2-b}{3}=0 \tag{A}$$の解となる。

これが実数解を持つから$$a^2-\dfrac{4(a^2-b)}{3} \geqq 0$$ $$\therefore \dfrac{1}{4}a^2 \leqq b$$が必要である。これを満たす組$(a,b)$は $(a,b)=(1,91)$、$(7,13)$ に絞られる。

それぞれの場合について方程式$(A)$を解いて、$(x,y)=(-5,6)$、$(5,-6)$、$(3,4)$、$(4,3)$ を得る。

 

(答)$(x,y)=(-5,6)$、$(5,-6)$、$(3,4)$、$(4,3)$


《コメント》

$x^3+y^3$ や $x^3-y^3$ の因数分解では $x^2+xy+y^2$ や $x^2-xy+y^2$ という式が出てきますが、これは実数の範囲で正なので絞り込みに利用できます。

また、$x^2-xy+y^2=x+y$ が成立するのは $(x,y)=(0,0)、(1,0)、(0,-1)、(1,-2)、(2,-1)、(2,-2)$ のときだけで、$x^2+xy+y^2=x-y$ が成立するのは $(x,y)=(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)$ のときだけです。

(注)$x^2+xy+y^2=k(x+y)$ 及び $x^2-xy+y^2=k(x+y)$ は $k \ne 0$ で楕円を描き、互いに$x$軸対称です。


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