問題#C012

問題#C012 ★★☆☆

方程式$$\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{2y}+\dfrac{1}{3z}=\dfrac{4}{3} \ \ \cdots \cdots ①$$ を満たす正の整数の組$(x,y,z)$について考える。

(1)$x=1$ のとき、方程式①を満たす正の整数 $y、z$ の組をすべて求めよ。

(2)$x$の取り得る値を求めよ。

(3)方程式①を解け。


《ポイント》

前問同様、大小関係を利用します。誘導設問が付いていますので、これに従えばそれほど難しくありません。


《解答例》

 

(1)

$x=1$ のとき①式は$$\dfrac{1}{2y}+\dfrac{1}{3z}=\dfrac{1}{3}$$となる。両辺に$6yz$を乗じて整理すると$$2yz-2y-3z$$ $$\therefore (2y-3)(z-1)=3$$となる。$z-1 \geqq 0$より、$(2y-3,z-1)=(1,3)$、$(3,1)$となるから、それぞれから $(y,z)=(2,4)$、$(3,2)$ を得る。

(答)$(y,z)=(2,4)$、$(3,2)$

(2)

$y$、$z$ は正なので①式より、

$$\begin{align}& \ \ \ \ \ \dfrac{4}{3}-\dfrac{1}{x} \\ &=\dfrac{1}{2y}+\dfrac{1}{3z} \\ &\leqq \dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3} \cdots \cdots ②\\ &=\dfrac{5}{6} \end{align}$$

となるから $$\dfrac{1}{x} \geqq \dfrac{4}{3}-\dfrac{5}{6}=\dfrac{1}{2}$$ $$\therefore x \leqq 2$$

よって$x$の取り得る値は $x=1$、$2$ である。

(答)$x=1$、$2$

(3)

$x=2$ のとき①式は$$\dfrac{1}{2y}+\dfrac{1}{3z}=\dfrac{5}{6}$$となる。

このとき(2)の②式で等号が成立するから $(y,z)=(1,1)$ を得る。

これと(1)の結果を合わせると方程式①の解は

$(x,y,z)=(1,2,4)$、$(1,3,2)$、$(2,1,1)$

となる。

(答)$(x,y,z)=(1,2,4)$、$(1,3,2)$、$(2,1,1)$

 


《コメント》

誘導設問があるので取り組みやすいですが、「大きい項から考える」という鉄則を忘れなければ誘導が無くても解けます。本問の方程式①の中で最も絞り込みに適した項は$\dfrac{1}{x}$です。「大きい」というのは変数を動かしたときにラフな動き方をするというイメージです。どういうことかと言うと、$\dfrac{1}{x}$は$1$、$\dfrac{1}{2}$、$\dfrac{1}{3}$、$\cdots$という値の取り方をするのに対して、$\dfrac{1}{2y}$は$\dfrac{1}{2}$、$\dfrac{1}{4}$、$\dfrac{1}{6}$、$\cdots$と動くので、$\dfrac{1}{x}$は$\dfrac{1}{2y}$よりもラフに変動すると言えます。

(出典:早稲田大(政経)2005年第2問)


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