問題#C013 ★★☆☆
$p、q$ は素数で、$p<q$ とする。
(1)$\dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q}=\dfrac{1}{r}$ を満たす整数$r$は存在しないことを示せ。
(2)$\dfrac{1}{p}-\dfrac{1}{q}=\dfrac{1}{r}$ を満たす整数$r$が存在するのは、$p=2$、$q=3$ のときに限ることを示せ。
《ポイント》
本問では素数の性質 $2 \leqq p<q$ を利用しましょう。(1)も(2)も手順としては同じです。
《解答例》
(1)
与式 $\dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q}=\dfrac{1}{r}$ より$$r(p+q)=pq$$を得る。$p$と$q$は互いに素であるから $p+q$ は $pq$ で割り切れない。よって$r$は $pq$ の倍数となるから $r=mpq$ となるような整数$m$が存在し、$$m(p+q)=1$$を得るが、これより $m=p+q=1$ となり $2 \leqq p<q$ に反するので不適。
故に $\dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q}=\dfrac{1}{r}$ を満たす整数$r$は存在しない。
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(2)
与式 $\dfrac{1}{p}-\dfrac{1}{q}=\dfrac{1}{r}$ より$$r(q-p)=pq$$を得る。$p$と$q$は互いに素であるから $q-p$ は $pq$ で割り切れない。よって$r$は $pq$ の倍数となるから $r=npq$ となるような整数$n$が存在する。これより$$n(q-p)=1$$を得るから $m=q-p=1$ となる。これを満たす素数 $p$、$q$ は $p=2$、$q=3$ に限られる。
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《コメント》
比較的取り組みやすい問題だったと思います。「割り切れる」と分かった数は即刻、$r=npq$ のような倍数の形に直してしまいましょう。新しい文字で置いたらかえって複雑になりそうな気もしますが、不定方程式を解くときは制約の強い文字に次々と置き換えることで道が開けることが多いのです。文字で置こうか迷うくらいなら置いてしまった方が良いです。
(出典:一橋大1999年第1問)