問題#Ⅰ009 ★★☆☆
$p=2+\sqrt{5}$ とおき、自然数 $n=1,2,3,\cdots$ に対して$$a_n=p^n+\left(-\dfrac{1}{p}\right)^n$$と定める。以下の問いに答えよ。ただし設問(1)は結論のみを書けばよい。
(1)$a_1$、$a_2$の値を求めよ。
(2)$n \geqq 2$ とする。積$a_1 a_n$を、$a_{n+1}$と$a_{n-1}$を用いて表せ。
(3)$a_n$は自然数であることを示せ。
(4)$a_{n+1}$と$a_n$の最大公約数を求めよ。
《ポイント》
数列の最大公約数に関する問題です。細かく誘導されているので順々に解きましょう。(1)のⅱではユークリッドの互除法で特有の証明法を用いるので、しっかり覚えておきたいところ。
《解答例》
(1)
$\dfrac{1}{p}$を有理化すると、$$\dfrac{1}{p}=\dfrac{1}{2+\sqrt{5}}=\sqrt{5}-2$$となるので、$a_1=4$、$a_2=18$ と求められる。
(答)$a_1=\color{red}{4}、a_2=\color{red}{18}$
(2)
$$\begin{align} a_1 a_n &=\left( p-\dfrac{1}{p} \right) \left\{ p^n+\left( -\dfrac{1}{p} \right)^n \right\} \\ &=p^{n+1}+\left(-\dfrac{1}{p}\right)^{n+1}-p^{n-1}-\left(-\dfrac{1}{p}\right)^{n-1} \\ &=a_{n+1}-a_{n-1} \end{align}$$となるから、$$a_1 a_n=a_{n+1}-a_{n-1}$$と表すことができる。
(答)$a_1 a_n=\color{red}{a_{n+1}-a_{n-1}}$
(3)
$a_1=4$ より、漸化式$$a_{n+1}=4a_n+a_{n-1} \ \ (n \geqq 2)$$を得る。$a_1$、$a_2$ は自然数であるので、この漸化式より帰納的にすべての $a_n$ が自然数であることが示される。
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(4)
$a_{n+1}$と$a_n$の最大公約数を$d_1$とすると、漸化式$$a_{n+1}=4a_n+a_{n-1} \ \ (n \geqq 2)$$より、$a_{n-1}$もまた$d_1$の倍数となる。$a_{n}$と$a_{n-1}$の最大公約数を$d_2$とすると漸化式より同様に$a_{n+1}$もまた$d_2$の倍数となる。これより $d_1 \leqq d_2$ かつ $d_1 \geqq d_2$ が成立するから $d_1=d_2$ が成り立つ。したがって$a_{n+1}$と$a_n$の最大公約数と$a_{n}$と$a_{n-1}$の最大公約数は等しい。これを続けていくと、$a_{n+1}$と$a_n$の最大公約数は $a_1=4$ と $a_2=18$ の最大公約数に等しいことが分かる。故に$a_{n+1}$と$a_n$の最大公約数は$2$である。
(答)$\color{red}{2}$
《コメント》
(1)~(3)までは特に問題無いでしょう。(3)では漸化式の形から整数になることを述べるだけで十分だと思われますが、慎重に慎重を重ねたい方は数学的帰納法で証明しても良いでしょう。ただし実際の試験のことを考えると、そのような大仰な道具を持ち出すよりは他の問題に充てる時間を増やした方が賢明です。
なお、(4)で隣接項の最大公約数が一致することの証明は問題#Ⅰ008の(1)と同様です。これにより具体的な計算をせずに最大公約数を求めることができます。
勿論、$n$に小さい値を代入してアタリをつけることもできますが、それらの最大公約数が$2$だったからと言って、すべての$n$について隣接項の最大公約数が$2$になることまでは保証されないので証明はきちんと行いましょう。
(出典:東京大学 2017年)