問題#Ⅰ019


問題#Ⅰ019 ★★★☆

$n$を自然数とする。次の各問に答えよ。

(1)自然数$k$は $2 \leqq k \leqq n$ を満たすとする。$9^k$を$10$進法で表したときのけた数は、$9^{k-1}$のけた数と等しいか、または$1$だけ大きいことを示せ。

(2)$9^{k-1}$と$9^k$のけた数が等しいような $2 \leqq k \leqq n$ の範囲の自然数$k$の個数を$a_n$とする。$9^n$のけた数を$n$と$a_n$を用いて表せ。

(3)$\displaystyle \lim_{n \to \infty} \dfrac{a_n}{n}$ を求めよ。


《ポイント》

漠然とした問題ですが、桁数に関する問題は不等関係から証明していくのが常道です。(3)はオマケのような問題で、発想力を必要とするのは(2)です。問題文中で与えられた$a_n$をどのように数式に反映させるかがポイントとなります。桁数を表す数列を自分で用意すると議論しやすくなります。


《解答例》

(1)

$9^{k-1}$($2 \leqq k \leqq n$)の桁数を$N$とすると$$10^{N-1}<9^{k-1}<10^N$$が成り立つ。この各辺に$9$を掛けると$$9\cdot10^{N-1}<9^{k}<9\cdot10^N$$ $$\therefore \cdot10^{N-1}<9^{k}<\cdot10^{N+1}$$が成り立つ。これより、$9^{k}$の桁数は$N$、若しくは$N+1$である。よって$9^k$を$10$進法で表したときの桁数は、$9^{k-1}$の桁数と等しいか、または$1$だけ大きい。

 

(2)

$9^k$の桁数を$d_k$とすると、$n \geqq 2$ のとき$$\begin{align}&\ \ \ \ \ b_n \\ &=b_1+(b_2-b_1)+(b_3-b_2)+\cdots+(b_n-b_{n-1}) \\ &= 1+\sum^{n}_{k=2}(b_k-b_{k-1}) \end{align}$$と表せる。$a_n$の定義および(1)の結果より、$2 \leqq k \leqq n$ の範囲で

$b_k-b_{k-1}=0$ となる$k$の個数は $a_n$

$b_k-b_{k-1}=1$ となる$k$の個数は $n-1-a_n$

であるから、$$\begin{align}&\ \ \ \ \ b_n \\ &=1+\{1\cdot(n-1-a_n)+0\cdot a_n\} \\ &= n-a_n \end{align}$$となる。よって$9^n$のけた数は$$\color{red}{n-a_n}$$と表せる。

 

(3)

(2)より、$$10^{n-a_n-1}<9^{n}<10^{n-a_n}$$が成り立つ。この各辺に対して常用対数をとると$$n-a_n-1<n \log_{10}9<n-a_n$$ $$\therefore 1-\log_{10}9-\dfrac{1}{n}<\dfrac{a_n}{n}<1-\log_{10}9$$となる。

ここで$$\lim_{n \to \infty} \left(1-\log_{10}9-\dfrac{1}{n}\right) = 1-\log_{10}9$$であるから、はさみうちの原理より、$$\lim_{n \to \infty} \dfrac{a_n}{n} = \color{red}{1-2\log_{10}3}$$を得る。

 


《コメント》

(2)が本問の難所ですが、実際には(1)で示した事実に基づいて桁数を求めるだけです。解答例では数列を持ち出してやや仰々しく議論していますが、もう少し単純な解答で済ませても良いでしょう。

(出典:神戸大学(後期) 1998年)


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