有機化学:ラジカル連鎖反応とHBrの逆マルコニコフ付加

高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日

光を当てると始まる反応では、何が最初に変わるのでしょうか。ラジカルが一度できた後、別のラジカルへ受け渡される連鎖を追います。

開始・成長・停止の三つに分ける

ラジカルは不対電子を持つ化学種です。アルカンの塩素化を例にすると、光によってCl–Clが均等開裂し、Cl・を生じるのが開始です。Cl・がR–HからHを取り、R・がCl₂からClを取る二段階で、R–Clを作りながらCl・が再生します。これが連鎖成長です。(OpenStax:6.6 ラジカル反応)

開始:Cl₂ → 2Cl・
成長①:Cl・ + R–H → HCl + R・
成長②:R・ + Cl₂ → R–Cl + Cl・

二つのラジカルが結合して不対電子が消える過程などが停止です。成長の一周でラジカルが再生するため、すべての生成物分子に対して一回ずつ光を吸収する必要はありません。

反応式を分類する開始:非ラジカルからラジカルを作ります。

電子を一つずつ追う場合は、通常の二電子の曲矢印と区別して片矢印を用います。

HBrでは、最初にBrラジカルが付く

プロペンへBr・が付加する場合、Brが末端炭素へ結合すると、中央に二級の炭素ラジカルができます。そのラジカルがHBrからHを取れば、1-ブロモプロパンを作り、Br・が再生します。イオン的付加とは最初に付く化学種が違うため、位置選択性が逆になります。

Br・ + CH₂=CH–CH₃ → BrCH₂–CH・–CH₃
BrCH₂–CH・–CH₃ + HBr → BrCH₂–CH₂–CH₃ + Br・

なぜHClやHIにも同じように広げられない?

連鎖を続けるには、ラジカルの付加とHの引き抜きの両方が進みやすい必要があります。HClではHを引き抜く段階、HIではIラジカルが付加する段階が、標準的な連鎖にとって不利になります。全体の反応式が似ていても、各成長段階のエネルギーを確認しなければなりません。

HBrの逆マルコニコフ付加は、適切な開始と連鎖成長が実現する条件での説明です。HBrを加えるだけで常にこの生成物になるわけではありません。

光と熱は、同じ刺激とは限らない

加熱は分子の熱的なエネルギー分布を変えます。光吸収は、光子のエネルギーに対応する電子状態などへの遷移を起こせます。光で生じた励起状態の反応経路が、基底状態を温めたときと同じとは限りません。

考えてみよう:連鎖成長では、ラジカルの総数が毎回増え続ける?

上の成長反応では、ラジカルを一つ使って一つ再生します。反応が進むことと、ラジカルが無限に増えることは別です。