有機化学:共役ジエンの1,2付加・1,4付加と環化付加

高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日

1,3-ブタジエンの端にHが付いた後、Brが付く場所は一か所とは限りません。四つの炭素へ番号を付け、残る二重結合の位置まで追います。

炭素の番号を最初に固定する

¹CH₂=²CH–³CH=⁴CH₂

C1へH⁺が付くと、残りのC2・C3・C4にアリル型のカチオンができます。C2に正電荷を置いた構造と、C4に置いた構造を描けますが、二つのカチオンが高速で往復するという意味ではありません。一つの非局在化した中間体です。

CH₃–CH⁺–CH=CH₂ ↔ CH₃–CH=CH–CH₂⁺

Brが付く位置と、二重結合の残る位置

付加 生成物の結合式 残る二重結合
1,2付加 CH₃–CHBr–CH=CH₂ C3=C4
1,4付加 CH₃–CH=CH–CH₂Br C2=C3

「1,4付加」は、離れたC1とC4へ新しい基が付いたという命名です。新たにC1–C4結合を作ったという意味ではありません。1,4付加物には二重結合が中央に残り、E/Zの違いも考えられます。(OpenStax:14.2 共役ジエンへの求電子付加)

Br⁻の結合する炭素を選ぶHがC1、BrがC2に付くので1,2付加。C3=C4が残ります。

最初に付けた炭素番号を途中で付け替えずに追います。生成物の正式な命名で付ける番号とは役割が異なります。

生成比は、できる速さと戻る反応で変わる

反応初期の生成比には、各位置へ結合する速度が関わります。戻る反応や生成物間の変換が十分進めば、生成物の自由エネルギー差も組成に反映されます。代表例を「低温なら1,2、高温なら1,4」と覚えるだけでなく、速度支配か、平衡へ近づける条件かを確認しましょう。

発展:Diels–Alder反応では環を作る

共役ジエンは、アルケンなどのジエノフィルと反応して六員環を作るDiels–Alder反応にも使われます。ジエン側の4π電子と相手の2π電子が関わるため、[4+2]環化付加と呼びます。ジエンの両端が相手へ同時に近づけるs-cis配座を取れることが必要です。HBrの1,4付加とは、生成する結合も機構も異なります。(OpenStax:14.4 Diels–Alder反応)

ここでの「4+2」は関与するπ電子系の分類です。四員環と二員環をつなぐという意味ではありません。

考えてみよう:1,4付加が起こると、二重結合は全部消える?

消えません。HBrを1分子付加するこの例では、中央にC=Cが一つ残ります。原子数と不飽和度を確認すると、描き間違いを見つけやすくなります。