物理化学:温度を上げると反応が速くなる理由を数値で見る

高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日

温度が10℃上がると反応速度は2倍になる、と聞くことがあります。便利な目安ではありますが、いつも同じ倍率になるわけではありません。活性化エネルギーを使って確かめます。

反応速度と速度定数を分ける

AとBが反応する場合、速度式がv=k[A][B]なら、濃度を上げても速度vは増えます。一方、kは温度や溶媒などの条件に依存する速度定数です。濃度を変えた実験と温度を変えた実験を混ぜて考えないようにしましょう。

k = A exp(−Eₐ/RT)

アレニウス式のEₐは活性化エネルギー、Aは頻度因子です。温度を上げると、反応に必要なエネルギー領域へ達する分子の割合が大きくなります。衝突の回数が増える効果だけでは、反応速度の大きな変化を説明できないことがあります。(OpenStax:12.5 衝突理論)

温度Tを変える(K)T = 298 K / 298 Kでの速度定数の 1.00 倍

Eₐ=50kJ/mol、頻度因子は一定と仮定。棒は倍率を対数的に圧縮して表示します。相変化や反応機構の変化は含めません。

10℃で2倍を計算してみる

298Kから308Kへ上げたとき、Eₐ=50kJ/molなら速度定数の比は約1.93です。同じ温度差でもEₐ=20kJ/molなら約1.30になります。さらに、同じEₐでも出発温度によって倍率が変わります。温度差は℃でもKでも同じですが、式に入れる温度そのものは絶対温度Kです。

ln(k₂/k₁) = (Eₐ/R)(1/T₁ − 1/T₂)

山の高さを下げると、なぜよく効くのか

反応速度には指数関数が含まれるため、障壁が少し変わるだけで速度は大きく変わり得ます。触媒や酵素が、通常なら遅い反応を速められる理由にもつながります。遷移状態理論では、速度定数を活性化自由エネルギーΔG‡と関連付けます。EₐとΔG‡は同じ定義ではありませんが、温度と障壁が速度に関わるという見方は共通しています。

測定される活性化エネルギーは、複数の素反応や前段階の平衡を含む見かけの値となる場合があります。すべての反応に同じ単純な山を当てはめることはできません。

考えてみよう:300Kを600Kにすれば、速度定数は必ず2倍?

なりません。温度は指数の中の逆数として入るので、比例関係ではありません。実際には600Kで同じ反応機構が保たれるかも確認する必要があります。