物理化学:自由エネルギーと平衡定数から反応の行き先を考える

高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日

生成物の方が安定なら、反応は最後まで進むのでしょうか。反応が向かう方向、平衡で残る割合、到達する速さを分けて考えます。

エンタルピーとエントロピーを合わせて考える

一定の温度・圧力での変化には、ギブズ自由エネルギーGを使います。反応に伴うエンタルピー変化ΔHとエントロピー変化ΔSを合わせると、ΔG=ΔH−TΔSです。発熱は生成物側に有利な要因ですが、粒子の配置や運動の取り方も関わるため、発熱か吸熱かだけでは方向を決められません。

ΔG = ΔG° + RT ln Q

ΔG°は標準状態を基準にした反応の値、Qはその時点の組成を表す反応商です。ΔGが負なら正反応、正なら逆反応が進む方向に自由エネルギーが下がります。生成物が増えればQも変わるため、同じ反応でも進みやすい方向は組成によって変わります。

平衡では、正反応も逆反応も続く

平衡ではΔG=0となり、Qは平衡定数Kに等しくなります。したがってΔG°=−RT ln Kです。ΔG°が負ならK>1であり、標準状態の基準で生成物側が有利です。「反応が停止する」というより、正逆の速度が等しくなり、見かけの組成が変わらなくなった状態です。(OpenStax:6.7 平衡・速度・エネルギー)

標準反応自由エネルギーΔG°を変える(kJ/mol)ΔG° = 0 kJ/mol / K = 1.00 / Bの割合 50.00%

298K、理想的なA⇌Bで全量を一定とした模型です。棒は平衡でのBの割合。厳密なKは、標準状態で割った無次元の活量を使います。

低い位置にあることと、そこへ行けること

ΔG‡ΔG反応物生成物遷移状態反応座標 →G
反応物と生成物の差がΔG、反応物から山頂までの差がΔG‡です。曲線は説明用の模式図です。

図で出発点と到着点の高さの差は反応の自由エネルギー変化です。途中の山の高さは活性化自由エネルギーΔG‡で、反応速度に関わります。生成物が十分に安定でも、山を越える経路が遅ければ、反応物は長く残ります。触媒は別の経路を用意して平衡への到達を速めますが、同じ温度での平衡定数は変えません。

考えてみよう:ΔG°=0なら、混ぜた瞬間から必ず平衡?

違います。K=1という意味であり、その時のQが1とは限りません。実際の方向はΔG=RT ln Qで判断します。

考えてみよう:触媒を増やせば、平衡で生成物の割合も増える?

同じ反応・温度・圧力なら変わりません。限られた観測時間内で生成物が増えることと、平衡組成が変わることは別です。