高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日
p軌道の図には二つのふくらみがあり、違う色が付いています。これは電子の通り道なのでしょうか。図の「形」「濃さ」「符号」を分けて読むと、軌道の意味が分かりやすくなります。
電子雲の点は、電子の個数ではない
電子の状態を表す波動関数をψと書きます。一電子の状態では、ある小さな領域で電子を見つける確率は、その領域の体積と|ψ|²から求められます。電子雲の濃い部分は、同じ状態を繰り返し測定すると電子が見つかりやすい場所です。一つの電子を描くために、図の中に何百個もの点を置いても構いません。
この「同じ体積で比べる」という条件が大切です。水素原子の1s状態では、確率密度は原子核の位置で最大になります。一方、原子核から同じ距離にある薄い球殻全体で数えると、球殻の体積も効いてきます。距離rでの分布には4πr²を掛けるため、最も確率の高い距離はゼロにはなりません。
二つの色は、プラスの電荷とマイナスの電荷ではない
実数で表したp軌道では、原子核を挟んでψの符号が反転します。符号が変わる境界にはψ=0となる節面があります。どちら側も電子の電荷は負であり、確率密度|ψ|²は負になりません。色分けは、軌道どうしを足し合わせたときに強め合うか、打ち消し合うかを追うための目印です。(OpenStax:1.2 原子軌道)
数値は二乗の関係を確かめるための任意の値です。棒は確率密度に対応する量を示し、原子全体で規格化した確率ではありません。
軌道の表面に壁があるわけではない
教科書の輪郭は、電子が存在しやすい範囲を見やすく区切ったものです。輪郭の外側にも分布は続きます。また、p軌道は電子が8の字に周回する経路ではありません。「節面を通れないのに、どうやって反対側へ行くのか」という疑問は、軌道の図に小球の軌跡を重ねたことから生じます。定常状態の軌道が表すのは分布であり、そのような周回経路を仮定していません。
多電子原子・分子の全体の波動関数は、一つの三次元関数では表せません。原子軌道・分子軌道は、その複雑な状態を扱うための一電子の関数です。
考えてみよう:ψ=0.4とψ=−0.4では、確率密度はどちらが大きい?
どちらも0.16で同じです。ただし、別の軌道との相対的な符号は、足し合わせた結果に影響します。
考えてみよう:電子雲の輪郭を広げると、電子が増えたことになる?
なりません。同じ分布のうち、図に含める範囲を広げただけです。電子数と、作図のために選んだ輪郭は別に考えます。
