ホルミウムは、赤外線レーザーを生む希土類元素です。イオンの電子の動きが決まった波長の光をつくり、磁気の研究にも特徴を示します。
Ho|原子番号67|ホルミウム
原子番号67の重希土類元素。結晶や光ファイバーへの添加に利用されます。
見てみよう:姿・色・三態の変化
銀白色の金属で、強い磁気的性質をもつ希土類元素です。ホルミウムを含むレーザー結晶では、イオンが特定の波長の光を出します。目に見えない赤外線も、電子のエネルギー差から生まれる光です。

画像:images-of-elements.com(撮影者名の記載なし) / Holmium2.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY 3.0。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
| 項目 | 状態・温度 |
|---|---|
| 20℃・約1気圧 | 固体 |
| 融点の目安 | 約1472℃ |
| 沸点の目安 | 約2700℃ |
| 三態の見取り図 | 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安) |
温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。
同素体と原子の並び方
常温では六方最密構造です。金属の磁性と、酸化物やレーザー結晶中のイオンの性質を分けて説明できます。元素は同じでも、周囲の原子との関係が働きを変えます。
出典:英国王立化学会(RSC):ホルミウムの基本物性・発見史
同位体の分布:原子核の違いを読む
天然の安定同位体は¹⁶⁵Hoです。原子番号67に対して中性子は98個あり、原子番号が大きい元素では中性子が陽子より多い核種が普通に現れます。
同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。
| 同位体 | 代表的な割合・範囲(原子数%) |
|---|---|
| 165Ho | 100% |
割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。
出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024
発見の歴史:ストックホルムの名
1870年代末、ドラフォンテーヌとソレが分光で未知の成分を捉え、クレーベも希土類の分離研究からホルミウムを見いだしました。名前はストックホルムのラテン語名に由来します。スペクトルと化学分離が互いを補い合った発見です。
性質:電子が光と磁気を決める
ホルミウムイオンの電子状態は、赤外線の吸収・発光と強い磁気的応答を生みます。レーザー材料では母体結晶やガラスの中に少量を加え、励起光から得たエネルギーを取り出します。材料の透明度や不純物も効率に影響します。
具体例:2マイクロメートル帯の光
ホルミウムを含む光ファイバーや結晶は、赤外線レーザーの材料です。Exailはツリウムとホルミウムを添加した1.9〜2.2μm帯用のファイバーを提供しています。光の波長を選ぶことで、計測や加工対象との相互作用を調整します。
具体的な用途と製品
| 製品・用途 | 使われる形 | 性質と役割 |
|---|---|---|
| 赤外線レーザー | Hoを添加した結晶・光ファイバー | 励起エネルギーを赤外線へ変える |
| 分光・光計測 | ホルミウム系レーザー材料 | 必要な波長の光源をつくる |
| 磁性の研究 | ホルミウム金属・化合物 | 大きな磁気応答を調べる |
主な産地と供給網
他の重希土類と共存する原料から分離します。中国などの希土類加工拠点が供給に関わり、高純度酸化物を経て結晶や光学ガラスへ加工されます。小さな市場では、必要な純度の少量原料を安定して調達する力が重要です。
資源貿易と地政学
鉱石の量とレーザー材料の供給能力は直結しません。分離精製、結晶育成、光ファイバー製造の各技術を確保します。製造工程で不純物を抑え、装置の仕様に合う品質を繰り返し供給することが、貿易上の価値になります。
レーザーの波長は母体材料と装置構成で変わります。
資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。
