元素の世界:発見の歴史・性質・暮らしの中の用途

全118元素を、発見の歴史から現代の製品・資源貿易まで読み解きます。
原子番号1の水素から118のオガネソンまで、各元素に専用ページを設けました。物語と写真を入口に、固体・液体・気体の姿、同素体、同位体、暮らしの製品を読み解きます。発見者の工夫や、主要な産出国、精製・加工の拠点、国際的な供給網も紹介します。

物語から元素へ:気になる話を一つ選ぼう

大きな仏像、古代の王の手紙、軍服のボタン、遠い町の港。身近な物や歴史の出来事にも、元素の性質が関わっています。まずは気になる物語から読み進めてください。

写真と性質を読むための三つの手掛かり

固体・液体・気体:温度と圧力をそろえて比較します。金属にも液体や気体の状態があります。ヘリウムの固化や炭素の昇華のように、圧力が重要な例も紹介します。

同素体:同じ元素の単体でも、原子の結び方や並び方が変わると性質が変わります。黒鉛とダイヤモンド、白スズと灰スズがその例です。

同位体:陽子の数が同じで、中性子の数が違う原子です。各ページの表では原子の個数の割合を示し、年代測定、医療、地球や宇宙の研究へのつながりを説明します。

53点のクリエイティブ・コモンズ画像を各元素のページに掲載しています。写真の下には、写っている試料の説明と撮影者・出典・ライセンスを付けました。単体、化合物、保存用の容器や支持体を見分けながら眺めてみてください。

天然の同位体比は試料によって変わる場合があります。短寿命の人工元素など、色・融点・三態を十分な量で測定していない元素は、実測と予測を区別しています。歴史上の逸話も、史料で確認できる内容と後世の説を分けて記載しています。

118元素の索引

周期ごとに原子番号順で並べています。元素名を押すと詳しい解説が開きます。

第1周期:原子番号1–2

第2周期:原子番号3–10

第3周期:原子番号11–18

第4周期:原子番号19–36

第5周期:原子番号37–54

第6周期:原子番号55–86

55 セシウム(Cs)1秒の基準と地下深くで働く塩水56 バリウム(Ba)重い鉱物と小さなコンデンサー57 ランタン(La)カメラのレンズと水素吸蔵合金58 セリウム(Ce)ガラスを磨き酸素を出し入れする59 プラセオジム(Pr)緑の双子と磁石の材料60 ネオジム(Nd)強力磁石がモーターを小さくする61 プロメチウム(Pm)原子炉から生まれた希土類の空席62 サマリウム(Sm)高温でも磁気を保つ磁石63 ユウロピウム(Eu)電子の状態で光の色を変える64 ガドリニウム(Gd)MRIからニュートリノ観測へ65 テルビウム(Tb)緑の光と磁石の耐熱性66 ジスプロシウム(Dy)熱に強い磁石を支える少量の添加67 ホルミウム(Ho)赤外線レーザーと大きな磁気68 エルビウム(Er)光通信の信号を増幅する元素69 ツリウム(Tm)2マイクロメートル帯を開くレーザー材料70 イッテルビウム(Yb)加工用レーザーと精密な原子時計71 ルテチウム(Lu)PETの結晶と放射性医薬品72 ハフニウム(Hf)半導体の薄膜と原子炉の制御73 タンタル(Ta)小さなコンデンサーと原料の追跡74 タングステン(W)金属を削る工具の中の硬さ75 レニウム(Re)ジェットエンジンと幻のニッポニウム76 オスミウム(Os)重い金属と電子顕微鏡の染色77 イリジウム(Ir)点火プラグと水素をつくる触媒78 白金(Pt)宝飾品から排気処理・燃料電池へ79 金(Au)腐食しにくい接点と世界を巡る資源80 水銀(Hg)液体金属の利用史と国際的な管理81 タリウム(Tl)緑のスペクトルと放射線検出器82 鉛(Pb)古代の配管から蓄電池と回収へ83 ビスマス(Bi)低温で融ける合金と色のある結晶84 ポロニウム(Po)放射能を手掛かりに見つけた元素85 アスタチン(At)短い寿命を医療研究へつなぐ86 ラドン(Rn)地中から室内へ移動する放射性の気体

第7周期:原子番号87–118

87 フランシウム(Fr)短命なアルカリ金属で基本法則を調べる88 ラジウム(Ra)夜光塗料の歴史から医薬品へ89 アクチニウム(Ac)アルファ線治療研究を支える核種90 トリウム(Th)希土類鉱石と結び付く核燃料資源91 プロトアクチニウム(Pa)壊変系列が教えたアクチニウムの前駆体92 ウラン(U)鉱山と核燃料をつなぐ資源93 ネプツニウム(Np)ウランの次に発見された超ウラン元素94 プルトニウム(Pu)宇宙探査の熱源と核物質の管理95 アメリシウム(Am)煙を電流の変化で見つける96 キュリウム(Cm)火星の岩石を調べる放射線源97 バークリウム(Bk)次の元素をつくるための希少な標的98 カリホルニウム(Cf)小さな線源から中性子を取り出す99 アインスタイニウム(Es)ナノグラムの試料から結合を測る100 フェルミウム(Fm)原子核の形をレーザーで調べる101 メンデレビウム(Md)17個の原子から新元素を確かめる102 ノーベリウム(No)発見の検証と一原子の分光103 ローレンシウム(Lr)周期表の境目を測定で確かめる104 ラザホージウム(Rf)一原子ずつ確かめる第4族の化学105 ドブニウム(Db)ニオブとタンタルの先の化学106 シーボーギウム(Sg)超重元素でつくるカルボニル錯体107 ボーリウム(Bh)レニウムと比べて周期律を検証する108 ハッシウム(Hs)オスミウムに似た酸化物を調べる109 マイトネリウム(Mt)リーゼ・マイトナーの名を継ぐ元素110 ダームスタチウム(Ds)研究都市の名と重い核の探索111 レントゲニウム(Rg)X線発見者を記念する超重元素112 コペルニシウム(Cn)水銀の先で相対論的効果を探る113 ニホニウム(Nh)日本の実験が周期表に刻んだ名前114 フレロビウム(Fl)鉛の下にある揮発性の高い元素115 モスコビウム(Mc)壊変系列でつながる超重元素116 リバモリウム(Lv)研究所の協力を記念する元素117 テネシン(Ts)希少な標的がつないだ国際共同研究118 オガネソン(Og)第7周期の終わりから先を探る

製品・資源のテーマから探す

性質から用途を読む

元素は、原子核に含まれる陽子の数で区別される原子の種類です。陽子の数を原子番号と呼びます。製品では、元素は単体、化合物、合金、複合材料の形で働きます。使われる形と、その構造が生む性質を結び付けると、材料が選ばれる理由が見えてきます。

使われる形 具体例 性質と用途のつながり
単体 銅、ヘリウム 銅の導電性を電線に、液体ヘリウムの低温を超伝導磁石の冷却に生かす。
化合物 酸化インジウムスズ、窒化ガリウム 組成と結晶構造を利用し、透明電極やパワー半導体をつくる。
同素体 黒鉛、ダイヤモンド 炭素原子の結合と並び方の違いが、導電性や硬さを変える。
合金・複合材料 ステンレス鋼、炭素繊維強化樹脂 複数の成分と組織を組み合わせ、耐食性や軽さ・強さを得る。

発見の歴史を読む

新しい元素の発見は、観察と証拠の積み重ねです。ヘリウムは太陽光のスペクトルから見つかり、アルミニウムは単体の取得を経て安価な大量生産へ進みました。鉄や銅には古代からの利用史があります。超重元素では、原子核の崩壊を追跡し、新しい原子番号の生成を確かめます。各ページでは、発見、単離、命名、工業化の経緯を紹介します。

資源貿易と地政学を読む

供給網は、採掘、分離・精製、材料加工、製品製造、回収・再利用へと続きます。鉱山を持つ国、精製設備を持つ国、製品をつくる国の役割をたどり、輸送経路や輸出政策が産業に与える影響を考えます。希土類の分離技術、金属の副産物回収、肥料の国際貿易は、このつながりを知る手掛かりです。

研究用の人工元素では、生成施設、研究用同位体の供給、国際共同研究を取り上げます。超重元素のページでは、発見の証拠と、周期表の理解を広げる実験の意義を紹介します。

生産量・埋蔵量・貿易量は、対象年と集計対象をそろえて比較します。各ページに統計の出典と対象年を記載しています。研究段階の用途や理論予測には、その段階を明記しています。

基礎事項を確かめる

原子の構造/同位体/電子配置と軌道/周期表と電気陰性度

元素名・原子番号:IUPACの周期表。発見史、製品、資源統計の出典は各元素のページに記載しています。

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