白金(Pt):宝飾品から排気処理・燃料電池へ

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白金は、変色しにくい宝飾用金属であり、反応を進める触媒でもあります。見た目の美しさと表面での化学反応が、二つの大きな用途をつくります。

Pt|原子番号78|白金
第6周期・第10族。白金族の代表で、化学的安定性と触媒作用を持ちます。

見てみよう:姿・色・三態の変化

銀白色で、腐食に強く、細い線や薄い板にも加工できる金属です。触媒として反応物を表面に吸着し、反応が進む道筋を変えます。高価な材料でも少量を広い面積に分散させることで、多くの表面原子を働かせられます。

気相輸送で育てた白金の結晶。
気相輸送で育てた白金の結晶。
画像:Periodictableru / Platinum crystals.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY 3.0。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
項目 状態・温度
20℃・約1気圧 固体
融点の目安 約1768.2℃
沸点の目安 約3825℃
三態の見取り図 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安)

温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。

同素体と原子の並び方

通常は面心立方構造です。触媒の微粒子や大きな白金の塊は、同じ元素でも表面積が大きく違います。同素体の違いと、粒子サイズ・形の違いを分けて考えます。

出典:英国王立化学会(RSC):白金の基本物性・発見史

同位体の分布:原子核の違いを読む

¹⁹⁵Ptや¹⁹⁴Ptなど複数の天然同位体があります。¹⁹⁰Ptはごく少量の長寿命放射性核種です。天然の白金にも、核種ごとに異なる時間尺度が含まれています。

同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。

同位体 代表的な割合・範囲(原子数%)
190Pt 0.012%
192Pt 0.782%
194Pt 32.864%
195Pt 33.775%
196Pt 25.211%
198Pt 7.356%

割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。

出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024

発見の歴史:南米で使われた白い金属

南米ではヨーロッパで広く知られる前から白金が加工されていました。18世紀にウリョーアらの報告によってヨーロッパで研究が進みます。高い融点と扱いにくさを克服する技術が、用途を広げました。

性質:安定な金属の活発な表面

白金は腐食しにくい金属です。触媒では表面に分子を吸着させ、反応の進み方を変えます。細かな粒子として広い表面をつくることで、少量の貴金属を効率よく利用します。粒の大きさと支持材料が性能に関わります。

具体例:燃料電池で電気を取り出す

固体高分子形燃料電池では、白金系触媒が電極反応を支えます。自動車の排ガス処理や化学工業でも触媒に使います。使用後に回収して再精製できることが、高価な材料を繰り返し使う仕組みにつながります。

具体的な用途と製品

製品・用途 使われる形 性質と役割
排ガス処理 白金を含む触媒 有害成分の変換を促す
燃料電池 白金系電極触媒 電極反応を進める
宝飾品・精密部品 白金・白金合金 耐食性と加工性を生かす

主な産地と供給網

USGSの2024年資料では南アフリカが世界の主要な生産国で、ロシアも重要です。鉱山からの供給に加え、使用済み触媒や宝飾品の回収が供給を補います。精製拠点は複数の貴金属を分離する技術を持ちます。

資源貿易と地政学

採掘の地域集中に加え、自動車の方式や触媒設計の変化が需要を動かします。企業は一次原料と回収原料を組み合わせ、触媒の使用量削減も進めます。宝飾需要、工業需要、再生材が同じ金属の市場でつながっています。

燃料電池の触媒や排ガス触媒の組成は方式と製品によって異なります。

出典:英国王立化学会(RSC):白金の発見史・性質

出典:USGS:南アフリカの鉱業(2024年)

出典:USGS:ロシアの白金生産(2024年)

出典:Heraeus:水素関連の白金族触媒

資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。

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