テルビウム(Tb):緑の光と磁石の耐熱性

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テルビウムは蛍光体の緑色を生み、強力磁石の磁化を失いにくくします。光と磁気に対する働きが、少量の添加から大きな性能差を生みます。

Tb|原子番号65|テルビウム
原子番号65の重希土類元素。発光材料や高性能磁石に使われます。

見てみよう:姿・色・三態の変化

銀白色の金属です。テルビウムを含む蛍光体は緑色の光を出す用途で知られます。赤・緑・青の発光を組み合わせる画面では、元素が光の色を分担します。光の裏側にも周期表が広がっています。

テルビウムの金属試料。
テルビウムの金属試料。
画像:images-of-elements.com(撮影者名の記載なし) / Terbium-2.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY 3.0。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
項目 状態・温度
20℃・約1気圧 固体
融点の目安 約1359℃
沸点の目安 約3230℃
三態の見取り図 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安)

温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。

同素体と原子の並び方

通常は六方最密構造です。テルビウムを含む合金には磁場で形が変わる磁歪を利用する材料があります。原子の磁気状態と結晶の伸び縮みが結び付きます。

出典:英国王立化学会(RSC):テルビウムの基本物性・発見史

同位体の分布:原子核の違いを読む

天然の安定同位体は¹⁵⁹Tbです。蛍光体の緑色を生む電子の遷移と、核種を分ける原子核の構成は異なる階層の性質です。

同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。

同位体 代表的な割合・範囲(原子数%)
159Tb 100%

割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。

出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024

発見の歴史:イッテルビーの鉱物から

1843年、モサンデルはイットリアに複数の成分があることを示しました。テルビウムの名はスウェーデンのイッテルビーに由来します。初期の命名と試料の区分には混乱があり、分離技術の進歩によって現在の元素の区別が定着しました。

性質:磁石の弱点を補う

ネオジム磁石にテルビウムを取り込むと、磁化の反転に抵抗する保磁力を高められます。粒界拡散技術では、必要な場所に重希土類を配置して性能を引き出します。添加量を抑える工夫が、磁石の設計と資源の節約を結び付けます。

具体例:X線を緑の光に変える

テルビウムを添加したGd₂O₂S:Tbは、X線用の蛍光体として使われます。日亜化学工業の製品一覧にも掲載される材料です。放射線を受けた結晶から生じる光を読み取り、画像や検査の信号へ変えます。

具体的な用途と製品

製品・用途 使われる形 性質と役割
高温で働く永久磁石 テルビウムを使うNd-Fe-B磁石 保磁力を高める
X線・検査装置 Gd₂O₂S:Tb蛍光体 緑色の光で信号を取り出す
磁歪材料 Tb-Dy-Fe系合金 磁場による寸法の変化を利用する

主な産地と供給網

中国の重希土類分離網が重要な供給源です。供給経路の多様化も進み、双日は豪州の資源を使うLynasのジスプロシウム・テルビウムについて、2025年10月に日本への輸入を開始したと公表しています。

資源貿易と地政学

少量でもモーターの性能を左右するため、供給停止の影響が大きい材料です。豪州の鉱山、マレーシアの加工、日本の材料産業を結ぶ経路は供給源を増やします。使用量を減らす磁石技術と回収再利用も、調達の選択肢になります。

重希土類全体の生産統計と、テルビウム単独の供給量は区別します。

出典:英国王立化学会(RSC):テルビウムの発見史・性質

出典:日亜化学工業:蛍光体の製品一覧

出典:双日:重希土類の対日供給(2026年3月)

出典:信越化学工業:粒界拡散技術

資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。

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