サマリウム(Sm):高温でも磁気を保つ磁石

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サマリウムはコバルトと組み合わせ、高温で働く永久磁石になります。強さに加えて、温度が変わっても性能を保つ力が機械の信頼性を支えます。

Sm|原子番号62|サマリウム
原子番号62の希土類元素。Sm-Co磁石や中性子吸収材料に使われます。

見てみよう:姿・色・三態の変化

銀白色の金属です。サマリウム・コバルト磁石は、高温でも磁力を保ちやすい磁石材料として使われます。金属それぞれの性質を足し合わせるだけでなく、特定の結晶構造をつくることで新しい性能が生まれます。

高純度サマリウムの試料。
高純度サマリウムの試料。
画像:images-of-elements.com(撮影者名の記載なし) / Samarium-2.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY 3.0。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
項目 状態・温度
20℃・約1気圧 固体
融点の目安 約1072℃
沸点の目安 約1794℃
三態の見取り図 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安)

温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。

同素体と原子の並び方

常温で独特の層の積み方をした菱面体晶の構造を取り、温度を上げると他の構造になります。希土類の金属は見た目が似ていても、原子の層の重なり方は一様ではありません。

出典:英国王立化学会(RSC):サマリウムの基本物性・発見史

同位体の分布:原子核の違いを読む

¹⁵²Smなどの天然同位体を含みます。¹⁴⁷Smから¹⁴³Ndへの長い時間をかけた崩壊は、古い岩石の年代や起源を調べる時計になります。

同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。

同位体 代表的な割合・範囲(原子数%)
144Sm 3.08%
147Sm 15%
148Sm 11.25%
149Sm 13.82%
150Sm 7.37%
152Sm 26.74%
154Sm 22.74%

割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。

出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024

発見の歴史:鉱物の名を受け継ぐ

1879年、ルコック・ド・ボアボードランはサマルスキー石に由来する試料から新しい元素を見いだしました。鉱物の名はロシアの鉱山行政に関わったサマルスキーに由来します。人名が鉱物を経て元素名に残った例です。

性質:コバルトとの組合せ

SmCo₅やSm₂Co₁₇を基本とする磁石では、結晶の向きと微細組織が磁気を支えます。温度による性能変化が小さく、高温条件の設計に適します。磁石の選択では、室温での強さだけでなく、使用温度と長期安定性を比較します。

具体例:モーターと精密な機構

サマリウム・コバルト磁石は、熱が加わるモーターやセンサーなどに使います。小さな磁石でも安定した磁場を保つことが、位置検出や回転機構の精度につながります。磁石を支える構造や加工方法まで含めて製品を設計します。

具体的な用途と製品

製品・用途 使われる形 性質と役割
高温用モーター・センサー Sm-Co磁石 温度変化の中で磁場を保つ
中性子を吸収する材料 サマリウム化合物 中性子との強い相互作用を利用する
光学材料 サマリウムを含むガラス 光の吸収特性を調整する

主な産地と供給網

希土類鉱石から他の元素とともに回収し、分離・精製します。中国などの希土類加工拠点が供給に関わります。磁石にはさらにコバルトが必要となり、二つの金属の供給網が一つの製品で合流します。

資源貿易と地政学

調達を考える際は、サマリウムとコバルトを同時に確保します。磁石メーカーの製造技術、耐熱性の評価、加工くずの回収も競争力になります。双日は2026年3月、豪州由来の希土類供給事業でサマリウムの対日供給を進める計画を公表しました。

2026年3月の供給計画は、その時点の発表内容です。Sm-Co磁石は硬くてもろく、機械的な衝撃への対策が必要です。

出典:英国王立化学会(RSC):サマリウムの発見史・性質

出典:相模化学金属:サマリウム・コバルト磁石

出典:双日:重希土類の対日供給(2026年3月)

出典:USGS:中国の希土類産業(2024年)

資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。

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