ランタンは高性能な光学ガラスと、充電池の水素吸蔵合金に使われます。化学的によく似た希土類元素の一つが、光と水素を制御する材料になります。
La|原子番号57|ランタン
原子番号57の希土類元素。化合物では主にLa³⁺として存在します。
見てみよう:姿・色・三態の変化
銀白色の柔らかい金属で、空気中では表面が変わります。光学ガラスにはランタンを含む酸化物を使い、光の曲がり方を調整します。銀色の金属を透明なレンズへそのまま混ぜるのではなく、ガラスの構造を化合物として変えます。

画像:Jurii (Original uploader was Lanthanum-138 at en.wikipedia / Lanthanum-2.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY 3.0。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
| 項目 | 状態・温度 |
|---|---|
| 20℃・約1気圧 | 固体 |
| 融点の目安 | 約920℃ |
| 沸点の目安 | 約3464℃ |
| 三態の見取り図 | 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安) |
温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。
同素体と原子の並び方
室温の結晶は六方系の層を重ねた構造です。加熱すると別の結晶構造になります。希土類元素の性質を考える際、よく似た化学反応と、それぞれ固有の電子の性質を見分けます。
同位体の分布:原子核の違いを読む
天然では¹³⁹Laがほとんどを占め、ごく少量の長寿命放射性¹³⁸Laを含みます。元素名が同じでも、原子核の安定性は核種ごとに違います。
同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。
| 同位体 | 代表的な割合・範囲(原子数%) |
|---|---|
| 138La | 0.08881% |
| 139La | 99.91119% |
割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。
出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024
発見の歴史:隠れていた成分
1839年、カール・グスタフ・モサンデルはセリウムの試料から別の成分を分離しました。隠れるという意味に由来する名称がランタンです。純粋だと思われていた物質の中から新しい元素が現れる発見が、希土類の研究で繰り返されました。
性質:ガラスの屈折率を調整する
酸化ランタンを含む光学ガラスは、高い屈折率などを生かしてレンズを設計するために使われます。レンズの形だけでなく、光の波長ごとの曲がり方を材料組成で調整します。カメラの画質を支える要素は、表面の精度とガラスの化学組成の両方です。
具体例:水素を出し入れする電池
ランタンを含むニッケル系の合金は、水素を取り込んだり放出したりする性質を持ちます。ニッケル水素電池では、その働きを負極に利用します。気体の水素を大きな容器にためる方式とは異なり、合金の内部に取り込んで電池反応に使います。
具体的な用途と製品
| 製品・用途 | 使われる形 | 性質と役割 |
|---|---|---|
| カメラなどの光学系 | 酸化ランタンを含むガラス | 屈折率などの光学特性を調整する |
| ニッケル水素電池 | ランタンを含む水素吸蔵合金 | 水素の出入りを負極反応に使う |
| 石油精製 | ランタンを含む触媒材料 | 触媒の性能を調整する |
主な産地と供給網
ランタンはバストネサイトやモナザイトなどに含まれ、セリウムやネオジムとともに採掘されます。中国、米国、オーストラリアなどの希土類資源が供給の出発点です。鉱石を分解し、近い性質を持つ元素を分け、酸化物や金属へ加工します。
資源貿易と地政学
磁石用のネオジム需要で採掘を増やすと、同じ原料に含まれるランタンも得られます。元素ごとの需要量が違うため、鉱石全体を有効に使う用途の組合せが事業の採算を左右します。レンズ、触媒、電池という異なる需要先が、資源利用を支えます。
希土類全体の採掘量と、ランタン単独の精製量は別の統計です。
資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。
