ラドン(Rn):地中から室内へ移動する放射性の気体

元素の世界:索引

ラドンは、岩石や土壌の放射性元素から生じる希ガスです。資源として採掘するより、生活空間の濃度を測り、曝露を減らすことが重要です。

Rn|原子番号86|ラドン
原子番号86・第18族。無色・無臭の放射性気体です。

見てみよう:姿・色・三態の変化

無色・無臭の放射性気体です。冷やすと液体、さらに低温では固体になります。岩石中の放射性元素から生まれ、地面の隙間を通って移動します。気体だからこそ、元の固体鉱物とは違う場所で検出されます。

項目 状態・温度
20℃・約1気圧 気体
融点の目安 約−71℃
沸点の目安 約−61.7℃
三態の見取り図 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安)

微量の放射性試料については、物性表に評価値・推定値が含まれます。温度はRSCの代表値で、確定した大量試料の精密測定値と同じ意味ではありません。

同素体と原子の並び方

通常は単原子で存在します。温度を下げて凝縮することと、原子核が崩壊して別元素へ変わることは別の現象です。密閉容器の中でも、時間がたつと核種の内訳は変わります。

出典:英国王立化学会(RSC):ラドンの基本物性・発見史

同位体の分布:原子核の違いを読む

安定同位体はなく、²²²Rnや²²⁰Rnなどが崩壊系列から生まれます。それぞれの半減期が違うため、どの核種をどこで測るかによって、地中からの移動の見え方が変わります。

一定の天然存在比がない元素には、合成試料の割合を天然の割合として載せていません。核種ごとの半減期・崩壊経路は、研究機関の核データで確認できます。

出典:IAEA:LiveChart of Nuclides(核種データ)

発見の歴史:物質から出るエマネーション

19世紀末から20世紀初め、ラザフォードらやドルンが放射性物質から出る気体を調べました。ラジウムやトリウムから生じる気体は、後にラドンの異なる同位体として整理されます。化学的に同じ元素でも寿命が違うことを示す発見でした。

性質:反応しにくくても移動する

ラドンは化学反応を起こしにくい希ガスです。気体として地中から出て、建物の隙間などを通じて室内へ移動します。壊変して生じる粒子を含めた吸入曝露が、健康影響に関わります。化学的な不活性は、放射線の影響がないことを意味しません。

暮らしの具体例:室内濃度の測定

WHOは、住宅や職場のラドン濃度を測る方法と、侵入を抑える建築上の対策を示しています。小さな受動式検出器でも測定できます。地域の地質、建物の構造、換気が濃度を左右します。

具体的な用途と製品

製品・用途 使われる形 性質と役割
住宅・職場の環境管理 ラドン濃度の測定 室内の曝露を評価する
地球科学 地中や水中のラドンの測定 物質移動を調べる手掛かりにする
放射線利用の歴史 ラドンを封入した線源 過去の医療利用を学ぶ

主な産地と供給網

岩石・土壌中のウランやトリウムの壊変系列から各地で生じます。商業採掘の主要国を並べる元素ではありません。地質と建物ごとの条件が重要で、同じ国や地域でも濃度は変わります。

資源貿易と地政学

国際的な課題は資源貿易より、測定基準、住宅対策、鉱山労働者の防護です。測定器の校正と測定方法をそろえることで、国や地域のデータを比較できます。建築と公衆衛生を結ぶ元素です。

ラドンは肺がんの原因の一つです。健康対策は地域の測定基準と専門機関の案内に従います。

出典:英国王立化学会(RSC):ラドンの発見史・性質

出典:WHO:ラドンと健康

資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。

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