ウラン(U):鉱山と核燃料をつなぐ資源

元素の世界:索引

ウランは原子力発電の主要な燃料資源です。採掘から燃料加工、使用後の管理まで、長い工程と国際的な管理の下で利用します。

U|原子番号92|ウラン
原子番号92のアクチノイド。天然には主にウラン238と、少量のウラン235などが含まれます。

見てみよう:姿・色・三態の変化

銀白色で、非常に密度の高い放射性金属です。ウランガラスの黄緑色や蛍光は、ガラス中のウランを含む化学種によるものです。金属自体の色とは異なります。試料の化学形を確かめると、同じ元素の多彩な姿を整理できます。

項目 状態・温度
20℃・約1気圧 固体
融点の目安 約1135℃
沸点の目安 約4131℃
三態の見取り図 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安)

微量の放射性試料については、物性表に評価値・推定値が含まれます。温度はRSCの代表値で、確定した大量試料の精密測定値と同じ意味ではありません。

同素体と原子の並び方

常圧でα・β・γの固体相をもち、温度によって結晶構造が変わります。融ける前にも内部で原子が並び替わるため、体積や加工のしやすさが変化します。

出典:英国王立化学会(RSC):ウランの基本物性・発見史

出典:Argonne国立研究所:金属燃料の物性・相変態

同位体の分布:原子核の違いを読む

天然では²³⁸Uが約99.27%、²³⁵Uが約0.72%で、²³⁴Uはごく少量です。核燃料や年代測定では、この核種の違いが重要です。濃縮・減損された材料の組成は、天然の割合とは異なります。

同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。

同位体 代表的な割合・範囲(原子数%)
234U 0.0054%
235U 0.7204%
238U 99.2742%

割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。

出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024

発見の歴史:天王星にちなんだ名前

1789年、クラプロートは鉱石から新しい成分を見いだし、天王星にちなんで命名しました。1896年にはベクレルがウランの放射能を発見します。一つの元素の研究が、原子核の世界へ進む入口になりました。

性質:同位体が燃料の働きを分ける

ウランの同位体は化学的にはほぼ同じ挙動を示し、原子核の反応は異なります。原子力発電では核分裂に伴うエネルギーを熱として取り出します。原子炉の形式によって燃料の組成と加工方法が変わります。

具体例:燃料集合体になるまで

鉱山で得た原料は精製され、必要な処理と成形を経て燃料になります。燃料ペレットを金属製の管に収めた構造は、熱を取り出しながら物質を保持する役割を持ちます。発電は採掘だけでなく、材料加工と設備運用の積み重ねです。

具体的な用途と製品

製品・用途 使われる形 性質と役割
原子力発電 規格化された核燃料 核分裂のエネルギーを熱に変える
地球年代の研究 天然ウランの同位体 壊変と生成物を時間の手掛かりにする
物性・核物理研究 管理されたウラン化合物 電子状態や核反応を調べる

主な産地と供給網

カナダ天然資源省の2024年集計では、カザフスタン、カナダ、ナミビアが主要な鉱山生産国です。オーストラリアにも大きな資源があります。採掘国と転換・濃縮・燃料加工を行う国は異なり、工程別に供給網を確認します。

資源貿易と地政学

長期の燃料供給には、複数の調達先、加工能力、輸送経路、在庫の管理が必要です。平和利用を確保する保障措置と核物質管理も取引の前提になります。採掘コストだけでなく、使用後の燃料と廃棄物まで含めて評価する資源です。

資源量、埋蔵量、年間生産量は別の指標です。原子炉の方式によって燃料に必要な工程は異なります。

出典:英国王立化学会(RSC):ウランの発見史・性質

出典:カナダ天然資源省:ウランと原子力の統計(2024年生産)

資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。

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