ロジウムは、自動車の排気ガス処理を支える白金族金属です。少量で反応を進める触媒の力と、産出量の少なさが資源としての特徴をつくります。
Rh|原子番号45|ロジウム
第5周期の白金族金属。耐食性と触媒作用を持ち、合金やめっきにも利用されます。
見てみよう:姿・色・三態の変化
非常に明るい銀白色の金属です。反射性と耐食性を生かし、宝飾品の表面にも使われます。自動車排ガスの処理では触媒として働きます。美しい表面をつくる用途と、表面で化学反応を進める用途が一つにつながります。

画像:Alchemist-hp (talk) www.pse-mendelejew.de derivative work: Purpy Pupple (talk) / Rhodium powder pressed melted.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY-SA 3.0 de。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
| 項目 | 状態・温度 |
|---|---|
| 20℃・約1気圧 | 固体 |
| 融点の目安 | 約1963℃ |
| 沸点の目安 | 約3695℃ |
| 三態の見取り図 | 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安) |
温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。
同素体と原子の並び方
通常は面心立方構造です。ロジウム塩の赤色は金属の色ではありません。元素名は発見時に調べられた化合物のばら色に由来し、発見の手掛かりと完成した金属の姿が異なります。
同位体の分布:原子核の違いを読む
天然の安定同位体は¹⁰³Rhです。地球上の普通のロジウム試料では、原子核の質量数がほぼそろっています。
同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。
| 同位体 | 代表的な割合・範囲(原子数%) |
|---|---|
| 103Rh | 100% |
割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。
出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024
発見の歴史:ばら色の塩から
1803年、ウィリアム・ウォラストンは白金原料の分析からロジウムを発見しました。得られた塩のばら色が名称の由来です。同じ白金の研究からパラジウムなども見つかり、当時の「白金」に多様な元素が含まれていたことが明らかになりました。
発見の場面:白金を精製した後にも、宝が残っていた
白金を精製する仕事では、目的の白金を得た後にも溶液や残りかすが残ります。ウォラストンはその成分をさらに調べ、ロジウムの発見へたどり着きました。きれいにしたい材料にとっては混入物でも、研究者にとっては未知の元素の手掛かりになります。
ばら色の塩の結晶から名付けられたロジウムは、単体にすると銀白色です。発見の途中で見た物質の色と、最終的に取り出した金属の色が違います。化合物を調べながら、その奥にある元素を探していった歴史です。
現代でも、ロジウムは他の白金族元素と一緒に採れる資源です。副産物を丁寧に分ける技術は、発見の歴史と今日の資源供給を結び付けています。
性質:窒素酸化物の反応を助ける
ガソリン車の三元触媒では、ロジウムが窒素酸化物を窒素へ変える反応に重要な役割を果たします。白金やパラジウム、担体材料と組み合わせ、排気の温度と組成に応じて働く構造をつくります。触媒金属の種類だけでなく、表面積と配置も性能を左右します。
具体例:高温を測る熱電対
白金とロジウムを組み合わせた合金は、高温を測る熱電対に使われます。異なる金属の組合せで生じる電圧を温度の測定に利用します。炉の操業を管理する材料として、触媒とは別の物理的性質が活用されています。
具体的な用途と製品
| 製品・用途 | 使われる形 | 性質と役割 |
|---|---|---|
| 自動車の排気浄化 | ロジウムを含む触媒 | 窒素酸化物の低減を助ける |
| 高温測定 | 白金・ロジウム系熱電対 | 温度差を電圧として測る |
| 装飾品の表面 | ロジウムめっき | 白い光沢と耐食性を与える |
主な産地と供給網
南アフリカの白金族鉱床が重要な供給源です。ロジウムは他の白金族元素とともに採掘し、複数の分離工程を経て精製します。使用済み自動車触媒も回収原料になります。鉱山からの供給と、車両の廃棄に伴う回収という二つの時間軸があります。
資源貿易と地政学
新車の生産や排ガス規制による需要変化に対し、鉱山の増産には時間がかかります。回収量も過去に販売された車の台数と使用年数に左右されます。少量市場では需給のずれが価格を大きく動かすため、触媒の使用量低減と回収率の向上が調達に直結します。
触媒の構成は車種や排気条件で異なります。電池だけで走る車両には排気ガス浄化用の触媒を搭載しません。
資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。
