プラセオジム(Pr):緑の双子と磁石の材料

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プラセオジムは、かつて一つの元素と考えられた「ジジム」から分かれた元素です。ネオジムとともに永久磁石や光学材料に使われ、化学的な近さが供給方法にも表れます。

Pr|原子番号59|プラセオジム
原子番号59の希土類元素。化合物の色や磁気的性質を材料に利用します。

見てみよう:姿・色・三態の変化

銀白色で柔らかい金属です。化合物には黄緑色を示すものがあり、名前は「緑の双子」に由来します。似た元素を混ぜた試料から、わずかな色やスペクトルの差を手掛かりに分離していった歴史があります。

アルゴン中で保存したプラセオジム。
アルゴン中で保存したプラセオジム。
画像:Jurii / Praseodymium.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY 3.0。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
項目 状態・温度
20℃・約1気圧 固体
融点の目安 約931℃
沸点の目安 約3520℃
三態の見取り図 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安)

温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。

同素体と原子の並び方

室温では六方系の層状の結晶構造を取ります。色ガラスに使うときの発色は、金属単体の色ではなくガラス中のイオンによる光の吸収です。

出典:英国王立化学会(RSC):プラセオジムの基本物性・発見史

同位体の分布:原子核の違いを読む

天然の安定同位体は¹⁴¹Prです。ネオジムとの分離は元素の違いを選び分ける操作で、同じプラセオジムの同位体を分離する操作とは異なります。

同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。

同位体 代表的な割合・範囲(原子数%)
141Pr 100%

割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。

出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024

発見の歴史:双子を分ける

1885年、カール・アウアー・フォン・ヴェルスバッハはジジムを分離し、プラセオジムとネオジムを得ました。プラセオジムの名は緑の双子を意味します。40年以上にわたり一つの元素とされた成分が、分離と分光の技術によって二つに分かれました。

性質:ネオジムと組み合わせる

プラセオジムは鉄・ホウ素系の希土類磁石に使われます。ネオジムと組み合わせた原料はNdPrと表され、資源市場でも重要な製品です。高純度の単独元素に分ける用途と、混合物をそのまま生かす用途があり、必要な分離工程が変わります。

具体例:光を選んで吸収するガラス

プラセオジムやネオジムを含むジジムガラスは、特定の波長を吸収する光学材料です。ガラス加工で明るく見えるナトリウムの光などを抑える用途があります。顔料では、結晶の中にプラセオジムを組み込んで黄系の色をつくります。

具体的な用途と製品

製品・用途 使われる形 性質と役割
永久磁石 NdPrを含む鉄・ホウ素系合金 強い磁石の組成を構成する
光学フィルター ジジムガラス 特定の波長の光を抑える
陶磁器の着色 プラセオジムを含む顔料 黄系の色をつくる

主な産地と供給網

中国などの希土類鉱山・分離拠点が供給に関わり、オーストラリア由来の資源も使われます。鉱石中ではネオジムなどと共存し、分離した酸化物やNdPr製品として取引します。磁石をつくるには、さらに金属化、合金化、微細組織を制御する加工が必要です。

資源貿易と地政学

NdPrの調達は、自動車や産業用モーターの供給網と結び付きます。鉱山を増やすだけでなく、分離、金属化、磁石製造をつなぐ投資が必要です。混合原料を生かす設計は分離の負担を抑え、元素の組合せを材料の性能に変えます。

保護眼鏡は作業に適した規格品を選びます。色付きガラスだけで溶接の紫外線などを防げるとは限りません。

出典:英国王立化学会(RSC):プラセオジムの発見史・性質

出典:USGS:中国の希土類産業(2024年)

出典:USGS:オーストラリアの希土類鉱業(2024年)

資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。

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