テルルは、銅を精製する流れから回収され、太陽電池や熱電素子に使われます。電気と光、電気と熱を結ぶ材料に重要な役割を持ちます。
Te|原子番号52|テルル
第5周期・第16族の元素。化合物半導体や合金の添加成分として利用されます。
見てみよう:姿・色・三態の変化
銀灰色の光沢をもつ、もろい固体です。金を含むテルル鉱物もあり、金鉱石の分析が発見につながりました。金はいつも黄色い粒で見つかるわけではなく、他元素と結び付いた鉱物として隠れていることがあります。

画像:images-of-elements.com(撮影者名の記載なし) / Tellurium2.jpg(Wikimedia Commons) / CC BY 3.0。Commons掲載版の縮小画像。元画像の加工・合成に関する記載は出典をご覧ください。
| 項目 | 状態・温度 |
|---|---|
| 20℃・約1気圧 | 固体 |
| 融点の目安 | 約449.5℃ |
| 沸点の目安 | 約988℃ |
| 三態の見取り図 | 融点より低温で固体、融点と沸点の間で液体、沸点より高温で気体(約1気圧・平衡状態の目安) |
温度は純物質の代表値を読みやすく丸めています。約1気圧を基本とし、同素体・純度・圧力で値は変わります。融解や沸騰の境界では二つの相が共存します。
同素体と原子の並び方
通常の結晶はらせん状の鎖を含む三方晶です。非晶質の形もあります。セレンと似た構造を取り、半導体や熱電材料を考えるときに同じ族の比較が役立ちます。
同位体の分布:原子核の違いを読む
¹³⁰Teと¹²⁸Teが多く、両者は非常に長寿命の放射性核種です。元素の原子量は自然界に残った同位体の混合を表し、安定同位体だけを平均した値とは限りません。
同位体は、陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子です。次はCIAAWの2024年版にある代表組成、または試料間で認められる範囲です。割合は質量ではなく原子の個数で表します。
| 同位体 | 代表的な割合・範囲(原子数%) |
|---|---|
| 120Te | 0.09% |
| 122Te | 2.55% |
| 123Te | 0.89% |
| 124Te | 4.74% |
| 125Te | 7.07% |
| 126Te | 18.84% |
| 128Te | 31.74% |
| 130Te | 34.08% |
割合は近似値です。測定の不確かさは表では省略し、原資料に示されています。範囲の上下端は異なる試料の値で、上下端どうしを足して100%にするものではありません。100%の表記でも、特殊な環境や人工試料まで他核種が存在しないという意味ではありません。
出典:CIAAW:Isotopic Compositions of the Elements 2024
発見の歴史:金を含む鉱石の謎
1780年代、ミュラー・フォン・ライヒェンシュタインはトランシルヴァニアの鉱石を調べ、既知のアンチモンやビスマスとは違う成分を見いだしました。後にクラプロートが確認し、地球を意味する名が付けられました。金を含む鉱物の分析が、新しい元素の発見を導きました。
性質:電荷と熱の流れを設計する
ビスマスとテルルを含む材料は、温度差と電圧を結び付ける熱電素子に使われます。電流を流して一方から他方へ熱を移す使い方もあります。機械的に動く冷媒回路を持たない小型の温度制御に適した用途があります。
具体例:薄膜太陽電池の光吸収層
テルル化カドミウムCdTeは薄い層で太陽光を吸収する半導体です。JX金属は太陽電池や熱電材料向けのテルルを供給しています。使用済みモジュールからの材料回収は、希少な副産物を再び工業原料へ戻す経路です。
具体的な用途と製品
| 製品・用途 | 使われる形 | 性質と役割 |
|---|---|---|
| 薄膜太陽電池 | CdTe系半導体 | 光を吸収し電気に変える |
| 電子機器の温度制御 | ビスマス・テルル系熱電素子 | 電流で熱を移動させる |
| 切削しやすい金属材料 | テルルを添加した銅など | 加工性を調整する |
主な産地と供給網
テルルは銅の電解精製で生じる陽極泥などから回収します。中国や日本などの精製・加工拠点が供給に関わり、鉱山の採掘量だけでは供給能力を判断できません。銅原料中の含有量と、微量成分を分離する設備が回収量を決めます。
資源貿易と地政学
太陽電池の増産で需要が増えても、銅の処理量と回収設備に制約されます。材料の薄膜化、製造くずの再利用、廃製品からの回収を組み合わせると、新しい鉱石に頼る割合を下げられます。副産物資源では採掘量より回収率の向上が大きな意味を持ちます。
熱電材料や太陽電池の性能は、組成と装置設計に依存します。元素単体が同じ機能を持つという説明ではありません。
資料確認:2026年10月。資源統計の対象年は各出典に記載しています。
