問題#A005

問題#A005 ★★☆☆

正の約数の個数が$8$個で、正の約数の総和が$72$であるような正の整数$n$を求めよ。 ただし正の約数には$n$と$1$を含めるものとする。


《ポイント》

場合分けが発生するのでやや難しい問題です。約数の個数と総和について条件が与えられているので、これにしたがって絞り込んでいきます。約数については問題#A002も確認しておいてください。


《解答例》

$n$の異なる素因数が$4$個だとすると、正の約数の個数は$(1+1)(1+1)(1+1)(1+1)=16$となり条件に反する。よって$n$の異なる素因数は$3$個以下である。

そこで$n$の異なる素因数が$1$個だとすると、正の約数の個数は$8$個なので$n=p^7 \ (p \in \mathbb{N} \geqq 2)$となる必要があるが、これは$n \geqq 2^7=128$となり正の約数の総和が$72$であることに反する。

以上より、$n$の異なる素因数は$2$個または$3$個となる。以下、この2つの場合について場合分けして考える。

ここで、正の約数の総和が$72$であり、正の約数には$n$を含めるから$$n \leqq \dfrac{72}{2}=36 \ \ \cdots \cdots (\ast )$$が必要であることに注意しておく。

 

ⅰ)$n$の異なる素因数が$2$個のとき、約数の個数が$8$個であるから$n=p^3 q$と置ける。ただし$p,q$は互いに異なる$2$以上の自然数である。

$p \geqq 3$とすると$n \geqq 3^3 q=27q$となるが、$q \geqq 2$であるから$n$は$36$を超えてしまう。よって$p=2$が必要である。

これと$(\ast )$より$8q \leqq 36$、即ち$q=3$が必要である。このとき$n=24$となるが、$24$の約数の総和は$60$なので不適である。

 

ⅱ)$n$の異なる素因数が$3$個のとき、約数の個数が$8$個であるから$n=pqr$と置ける。ただし$p,q,r$はいずれも互いに異なる$2$以上の自然数である。いま、$p,q,r$はいずれも対等なので一般性を失うことなく$p<q<r$と置ける。

$p \geqq 3$とすると$n \geqq 3 \cdot 5 \cdot 7=105$となり正の約数の総和が$72$であることに反する。よって$p=2$が必要である。

これと$(\ast )$より$2qr \leqq 36$、即ち$qr \leqq 18$が必要である。ここで$q \geqq 5$とすると$qr \geqq 5 \cdot 7=35$となり$qr \leqq 18$に反するから、$q=3$が必要である。

よって$n=6q \leqq 36$より$q=5$が必要となるから$n=30$を得る。$30$の正の約数の個数は$8$個、正の約数の総和は$72$であるから適する。

 

以上ⅰ)、ⅱ)より、求める正の整数$n$は$30$である。

 

(答)$n=30$


《コメント》

ちょっと面倒な問題でしたが、仮定して矛盾を示し候補を絞り込むというのは整数問題の基本です。しっかりマスターしておきたいですね。

なお、素因数が$3$個のときの証明では$p<q<r$という条件を勝手に設定しています。$n=pqr$と置いたときに、$p$と$q$や$q$と$r$などを入れ替えても同じ式になる、つまり$p,q,r$について対称な式なので$p<q<r$と仮定しても問題無いのです。この技を使えば不等関係の議論に持ち込めるので、スムーズに議論できるようになります。


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