問題#A020

問題#A020 ★★☆☆

$n$を正の整数とする。

(1)$n^2$ と $2n+1$ は互いに素であることを示せ。

(2)$n^2+2$ が $2n+1$ の倍数になる$n$をすべて求めよ。


《ポイント》

整式の互素性はユークリッドの互除法によって証明するのが基本です。(1)では$n^2$の代わりに$n$を持ち出します。(2)は分数式に直してしまって構いませんが、そのまま割ってしまうとかえって面倒なのでここでもうまい工夫をします。


《解答例》

(1)

$n$と$2n+1$の最大公約数を$d$と置く。

$2n+1$と$2$は互いに素であるから、$2n$と$2n+1$の最大公約数は$d$のままである。故にその差$1$は$d$の倍数でなければならないから$d=1$である。よって$n$と$2n+1$は互いに素であるから、$n^2$と$2n+1$も互いに素である。

(2)

$2n+1$と$4$は互いに素であるから、$\dfrac{n^2+2}{2n+1}$を整数にする$n$と、$\dfrac{4n^2+8}{2n+1}$を整数にする$n$は等しい。

$$\dfrac{4n^2+8}{2n+1}=2n-1+\dfrac{9}{2n+1}$$となるから、これが整数になるためには$2n+1$が$9$の約数であることが必要である。故に$$2n+1=3、 9$$が必要で、 $n=1、4$ の2個が求める正の整数$n$である。

 

《別解①》

$$\dfrac{n^2+2}{2n+1}=\dfrac{1}{2}n-\dfrac{1}{4}+\dfrac{9}{4(2n+1)}$$となるが、 $n^2+2$ が $2n+1$ の倍数であれば、これがある正の整数$k$に等しくなる。このとき$$k=\dfrac{1}{2}n-\dfrac{1}{4}+\dfrac{9}{4(2n+1)}$$となる。両辺に$4$を掛けて整理すると$$4k-2n+1=\dfrac{9}{2n+1}$$となる。左辺は整数だから右辺も整数でなければならない。故に$2n+1$は$9$の約数でなければならないから、$$2n+1=3、 9$$が必要で、 $n=1、4$ の2個が求める正の整数$n$である。

 

《別解②》

$n^2+2$ が $2n+1$ の$k$倍 $(k \in \mathbb{N})$であるとすれば、$$n^2+2=k(2n+1)$$ $$\therefore n^2-2kn+k^2=k^2+k-2$$ $$\therefore (n-k)^2=k^2+k-2$$となり、$k^2+k-2$ が平方数となる。 ここで、すべての自然数$k$に対して、$$(k-1)^2 \leqq k^2+k-2 < (k+1)^2$$が成立するから、$k^2+k-2=(k-1)^2$ または $k^2+k-2=k^2$ の2つの場合に限られる。これらを解いて $k=1、2$ を得る。$k=1、2$ とすると、それぞれ $n=1、4$ を得るが、このとき確かに $n^2+2$ は $2n+1$ の倍数になっている。

故に求める正の整数$n$は $n=1、4$ である。

 

(答)$n=1、4$


《コメント》

(1)はユークリッドの互除法の原理しか利用していないので、きちんと整理しながら考えれば納得できると思います。(2)について補足しておきます。解答例では2通りの解法を示していますが、別解②は整数に慣れていないとなかなか気付きにくい解法です。整式を平方数で挟む問題は珍しいですが、こういう解法があることも知っておきましょう(第2章第4節の「不等式の利用」3.隣接整数の項で一応触れています)。

前者の解法にしても普通に割ってしまうと$$\dfrac{n^2+2}{2n+1}=\dfrac{1}{2}n-\dfrac{1}{4}+\dfrac{9}{4(2n+1)}$$と変形したっきりで行き詰ってしまう人が出てきます(実際には何ともないのですが)。そこで予め分子に$4$を乗じておいたのが本解の方針です。天下り解答ですね(笑)。基本的には別解①の方法で解けていれば十分です。

本問は一橋大学の古い入試問題(1992年)ですが、指導要領が改訂されて整数分野のウェイトが大きくなった昨今であれば、このくらいのレベルの問題は出題されやすくなったと考えるべきでしょう。

(出典:1992年一橋大学前期第1問)


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