問題7.1.4a
次の微分方程式を解け(1階線形)。
(1)$y’-y=e^{2x}$
(2)$y’-\dfrac{2}{x}y=x+2$
(3)$y’+2xy=x$
(4)$xy’-y=x$
《ポイント》
次の形の方程式を1階の線形微分方程式と言います。$$y^{(n)}+p_{n-1}(x) y^{(n-1)}+\ldots+p_{1}(x) y^{\prime}+p_{0}(x) y=q(x)$$特に $q(x)=0$ のときを斉次形、$q(x) \ne 0$ のときを非斉次形と言います。
斉次部分 $y’=y$ は変数分離形なので $\dfrac{dy}{y}=dx$ と変形できます。この両辺を積分すると$$\log|y|=x+c_1$$となるので、$C_1$を任意の実数とすると斉次形の微分方程式 $y’-y=0$ の一般解は$$y=C_1 e^x$$で与えられます。
また、$$y^{\prime}+p(x) y=q(x) \quad \cdots (*)$$という形の線形微分方程式の解は$$ y=\exp \left(-\int p(x) d x\right)\left\{\int q(x) \exp \left(\int p(x) d x\right) d x+c\right\}$$で与えられます。
《解答例》
(1)$y’-y=e^{2x}$
$(*)$において $p(x)=-1$、$q(x)=e^{2x}$ とすると、解は$$y=e^x \left(\int e^{2x}\cdot e^{-x} d x+c\right)$$ $$\therefore y=e^x \left(e^x+c\right)$$ $$\therefore y=e^{2x}+ce^x \quad \cdots (\text{答})$$となる。ただし、$c$は任意の実数である。
(2)$y’-\dfrac{2}{x}y=x+2$
$$\begin{aligned} \int \dfrac{2}{x} d x &=2 \log |x|+c \\ &=\log x^{2}+c \end{aligned}$$であるから、$(*)$において $p(x)=-\dfrac{2}{x}$、$q(x)=x+2$ とすると、$$\begin{aligned}
y &=e^{\log x^{2}} \left(\int(x+2) e^{-\log x^{2}} d x+c\right) \\
&=x^{2}\left(\int\left(\frac{1}{x}+\frac{2}{x^{2}}\right) d x+c\right) \\
&=x^{2}\left(\log |x|-\frac{2}{x}+c\right) \\
&=x^{2} \log |x|-2 x+c x^{2} \quad \cdots (\text{答})
\end{aligned}$$となる。ただし、$c$は任意の実数である。
(3)$y’+2xy=x$
$$\int 2 x d x=x^{2}$$であるから、$(*)$において $p(x)=2x$、$q(x)=x$ とすると、$$\begin{aligned}
y &=e^{-x^{2}}\left(\int x e^{x^{2}} d x+c\right) \\
&=e^{-x^{2}}\left(\frac{1}{2} e^{x^{2}}+c\right) \\
&=\frac{1}{2}+c e^{-x^{2}} \quad \cdots (\text{答})
\end{aligned}$$となる。ただし、$c$は任意の実数である。
(4)$xy’-y=x$
与式は$$y^{\prime}-\frac{1}{x} y=1$$と1階線形微分方程式に変形できるから、$(*)$において $p(x)=-\dfrac{1}{x}$、$q(x)=1$ とすると、$$\int p(x) d x=\int-\frac{1}{x} d x=-\log |x|$$より、$$\begin{aligned}
y &=e^{\log |x|}\left(\int e^{-\log |x|} d x+c\right) \\
&=|x|\left(\int \frac{1}{|x|} d x+c\right) \\
&=x\left(\int \frac{1}{x} d x+c\right) \\
&=x(\log |x|+c) \\
&=x \log |x|+c x \quad \cdots (\text{答})
\end{aligned}$$となる。ただし、$c$は任意の実数である。
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