空集合を表す記号のTeXコマンドに関する備忘録です。
$\TeX$で空集合を表すコマンドには、
$\emptyset$ \emptyset
$\varnothing$ \varnothing
$\phi$ \phi
などがあります。伝統的には \emptyset コマンドを使うべきとされていますが、個人的には\varnothingコマンドの方が好きですね・・・。
空集合は例えば$$\forall A:A\cup \varnothing =A$$のように使います。英語圏では「Null sign」と呼ばれており、Unicodeの ∅ (EMPTY SET, U+2205)がそれに該当します。
そもそも空集合の記号「∅」は、ブルバキの数学原論(Éléments de mathématique;1939年)で初めて用いられた記号です。20世紀を代表するフランスの数学者、アンドレ・ヴェイユは自伝の中で、この記号を担当したのは自分だと述べており、ノルウェー語のアルファベット「Ø」が起源(便宜上使われることの多いギリシャ語のファイ$\phi$とは一切関係が無い)と記されています。この文字はノルウェー語、デンマーク語、フェロー語のアルファベットで使われるようです。