創作整数問題#26解法&創作整数問題#27


11月に入って一段と冷え込んできました。季節の変わり目なので体調管理には気を付けたいですね。さて、前回の問題#26はペル数列の絡む問題でした。今回は簡単なディオファントス方程式を取り上げます。


《問題#27》

等式$$x^3+y^3-3xy=0$$を満たすような整数$x$、$y$の組をすべて求めよ。

(創作問題)


箸休め程度の問題ですが、様々な別解が考えられそうです!

 

 

 

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答えは $\color{red}{x=y=0}$ です。

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創作整数問題#26(解き方)


$n$を$2$以上の整数とする。$\sqrt{{}_{n}\mathrm{C}^{\ }_{2}\ }$ が整数となるような$n$を$5$つ求めよ。


ここではペル方程式の解の構成の詳細などについては深く立ち入らず、本問のアプローチを簡単に書いていきたいと思います。

《略解》

$m$を正の整数として$$\sqrt{{}_{n}\mathrm{C}^{\ }_{2}\ }=m$$と置きます。両辺正なので平方して整理すると、$$n(n-1)=2m^2$$と変形できます。両辺を$4$倍し、さらに$1$を加えると$$4n^2-4n+1=8m^2+1$$ $$\therefore (2n-1)^2-2(2m)^2=1$$を得ます。ここで $2n-1=X$、$2m=Y$ と置くと、方程式は$$X^2-2Y^2=1 \tag*{・・・(★)}$$というペル方程式に還元することができます。ここで $(X,Y)=(3,2)$ はこの方程式を満たす最小の正整数解ですので、2つの数列$\{x_k\}$、$\{y_k\}$を$$x_k+y_k \sqrt{2}=(3+2\sqrt{2})^k$$によって定義すると、すべての組$(x_k,y_k)$は方程式$(★)$を満たします。$2n-1=x_k$ によって$n$の値を求めていくと、$$\color{red}{n=2,9,50,289,1682}$$と求めることができます。


(コメント)

$n$を計算する際は、数列$\{x_k\}$、$\{y_k\}$の一般項を求めてしまっても良いでしょう。$$\begin{cases} x_k=\dfrac{(3+2\sqrt{2})^k+(3-2\sqrt{2})^k}{2} \\ y_k=\dfrac{(3+2\sqrt{2})^k-(3-2\sqrt{2})^k}{2\sqrt{2}} \end{cases}$$ですから、$$n=\dfrac{(3+2\sqrt{2})^k+(3-2\sqrt{2})^k+2}{4} \tag*{・・・(☆)}$$として表すことができます。因みにこの場合、実は$(☆)$の右辺は「小さい方から数えて$k$番目の$n$」を表しています。なお、$\alpha=3+2\sqrt{2}$、$\beta=3-2\sqrt{2}$ として $p_n={\alpha}^n+{\beta}^n$ と置くと、$p_n$は漸化式$$p_{n+2}=6p_{n+1}-p_{n}$$を満たします。$(3+2\sqrt{2})^k$の展開計算に自信が無い方は、この漸化式を使って$n$を計算すると良いと思います。

ペル方程式に関連する入試問題はホームページの「雑題ログ」にまとめてあります。もしよければ覗いてみて下さい。

 

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