創作整数問題#90解法&創作整数問題#91

先週末は久し振りに賑やかなクリスマスでした。街もコロナ以前と遜色ないくらいに人通りが増えてきたように思います。


創作整数問題#91


《問題#91》

数列$\{F_n\}$と数列$\{L_n\}$をそれぞれ次のように定義する。

$F_1=1$、$F_2=1$、$F_{n+2}=F_{n+1}+F_n$($n=1,2,\cdots$)

$L_1=1$、$L_2=3$、$L_{n+2}=L_{n+1}+L_n$($n=1,2,\cdots$)

このとき、座標平面上に次の条件(*)を満たすような二次曲線$C$が存在することを示せ。

(*):点$(F_k, L_k)$が$C$上に存在するような自然数$k$が無数に存在する。

(創作問題)


問題文中の数列$\{F_n\}$は「フィボナッチ数列」、数列$\{L_n\}$は「リュカ数列」と名前が付いています。本問は、これらを$x$、$y$成分とするような無数の点を通る二次曲線の存在を証明してください、という問題です。

なかなか研究のし甲斐があるテーマです。年末年始のお供にどうぞ。

 

証明問題につき、解答例は次回掲載します。


創作整数問題#90(解き方)


十進法表記された1桁でない正の整数$n$に対して、$n$の各位の数の和、各位の数の積を、それぞれ$s$、$p$とする。例えば $n=334$ のとき、$$s=3+3+4=10$$ $$p=3 \times 3 \times 4=36$$である。このとき、$s+p=n$ を満たす正の整数$n$をすべて求めよ。


$n$の十進法表記を文字で置いて議論するのがよいでしょう。上手く挟める不等式を見つけるところが最初の関門です。小さい$n$について実験してみるのも良いでしょう。

解答例

 

整数$n$の桁数を$i$として、$n$の十進法表記を$$n = \overline{a_{i}a_{i-1} \cdots a_1}_{(10)}$$と置く。ここで各位の数$a_i$($i=1,2,\cdots,n$)は$0$以上$9$以下の1桁の整数である。ただし、$1 \leq a_i \leq 9$ である。

 

これより、$$s=a_{i}+a_{i-1}+\cdots +a_{1}$$および$$p=a_{i} \cdot a_{i-1} \cdot \cdots \cdot a_{1}$$と表せる。$n = s + p$ が成り立つとすれば、$$a_{i} \cdot 10^{i-1} \leq n = s + p \leq (a_{i} + 9(i-1)) + a_i \cdot 9^{i-1}$$つまり$$(10^{i-1}-9^{i-1}-1)a_i < 9(i-1) \quad \cdots ①$$が成り立つことが必要である。ここで、$$(10^{i-1}-9^{i-1}-1)a_i \geq 10^{i-1}-9^{i-1}-1$$であるから、$①$が成り立つためには少なくとも$$10^{i-1}-9^{i-1}-1<9(i-1) \quad \cdots ②$$が成り立つことが必要となる。

 

ここで、$n$の桁数が$3$以上でないことを示すために、不等式$②$が $i \geq 3$ で成立しないこと、つまり $i \geq 3$ において$$10^{i-1}-9^{i-1}-1 \geq 9(i-1) \quad \cdots ③$$が成立することを、数学的帰納法によって証明する。$i=3$ のとき、$③$の左辺は$$10^{3-1}-9^{3-1}-1=18$$となり右辺は$18$となるから不等式$③$は成立する。$i=k$($k$は$4$以上の整数)について不等式$③$が成立すると仮定する。$$10^{k-1}-9^{k-1}-1 \geq 9(k-1)$$の両辺に$10$を乗じて整理すると、$$10^{k}-(9+1)\cdot 9^{k-1}-10 \geq 90(k-1)$$ $$\therefore 10^{k}-9^{k}-1 \geq 9k+(9^{k-1}+81k-81)$$となる。$k \geq 4$ のとき、$9^{k-1}+81k-81>0$ であるから$$10^{k}-9^{k}-1 \geq 9k$$が成り立つ。よって不等式$③$は $i=k+1$ のときも成立する。以上より、$i \geq 3$ において不等式$③$が成立することが示された。これより不等式$②$は $i \geq 3$ で成立しないことが従うから、$n$の桁数は$2$に限られる。

 

したがって $n=s+p$ より、$$10a_{2}+a_{1}=a_{2}+a_{1}+a_{2}a_{1}$$ $$\therefore a_{2}(a_{1}-9)= 0$$いま、$a_{2} \ne 0$ であるから、この解は $a_{1}=9$ に限られる。よって、求める整数$n$は$$\color{red}{19,29,39,49,59,69,79,89,99}$$(下$1$桁が$9$であるような$2$桁の整数)である。

 


 

各位の数に関する問題では、桁数を文字で置いて、不等式などによって解の候補を絞り込んでいくのが基本の解法となります。上記の解答例では対偶証明法と数学的帰納法を利用して$n$の桁数が$2$以下であることを導きました。この他にも帰納法によらない証明など別解が考えられそうです。

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